聖書の箇所は、31章10節から31節です。
いよいよ最後です。
ここは母が教える魅力的な女性の紹介です。妻としてふさわしい女性は、男が求める単なる美しさではないことを教えています。
●10節.有能な妻を見いだすのは誰か/彼女は真珠よりもはるかに価値がある。
新改訳は、「しっかりした妻をだれが見つけることができよう。彼女の値うちは真珠よりもはるかに尊い。」です。
だれが賢い妻を見つけることができるか、賢い妻は宝石よりもすぐれて尊い。
真珠よりも貴い賢い妻は、知恵をかなえ備えた女性ということができます。
「しっかりした妻の「しっかりとした」は、英語では「高貴な」という訳になっているそうです。
●11節.夫は心から彼女を信頼し/儲けに不足することはない。
新改訳は、「夫の心は彼女を信頼し、彼は「収益」に欠けることがない。」です。
●12節.彼女は生涯にわたって/夫に幸いをもたらし、災いをもたらすことはない。
新改訳は、「彼女は生きながらえている間、夫に良いことをし、悪いことをしない。」です。
貴い賢い妻は、非常に働き者で、家計を支えています。その具体例が次から書かれています。
●13節.羊毛と亜麻を求め/手ずから喜んで仕立て上げる。
新改訳は、「彼女は羊毛や亜麻を手に入れ、喜んで自分の手でそれを仕上げる。」です。
彼女は自分の手で衣類などを仕立てます。また後で詳しい描写されます。
●14節.商人の船のように/遠くから食物を運んで来る。
新改訳は、「彼女は商人の舟のように、遠い所から食糧を運んで来る。」です。
彼女は、商人の舟のように、遠い国から食糧を運んでくるのです。
家族のための食糧の調達は女性の仕事であったのでしょう。
当時は、市場に行って、それぞれのお店で値段交渉をしながら歩き回ります。
そして、いっぱい食糧を抱えて帰ってきます。それはさながら、商人の舟のようだと言うことでしょう。
●15節.彼女は夜明け前に起き出して一家の食事を整え/働く若い女たちに指図を与える。
新改訳は、「彼女は夜明け前に起き、家の者に食事を整え、召使の女たちに用事を言いつける。」です。
彼女は、朝早くから食事の支度をします。召使の女に日用の仕事を言いつけます。
●16節.よく思い巡らしたうえで畑を購入し/手ずから得たもうけの果実でぶどう畑を設ける。
新改訳は、「彼女は畑をよく調べて、それを手に入れ、自分がかせいで、ぶどう畑を作り、」です。
彼女は畑をよく考えてそれを買い、手を入れて、その働きで実を実らせ、ぶどう畑をつくり、
●17節.力強く腰に帯をし/腕に力を入れる。
新改訳は、「腰に帯を強く引き締め、勇ましく腕をふるう。」です。
●18節.取り引きが好調であることを確かめ/灯は夜も消えることがない。
新改訳は、「彼女は収入がよいのを味わい、そのともしびは夜になっても消えない。」です。
彼女はぶどうという商品の収入が良いのを知っている、そのともしびは終夜消えることがないのです。
賢い妻は、副業をして夫を助けます。聖書では、妻が副業をするる能力があることは、称賛に値することなのです。
●19節.彼女は手をはずみ車に伸べ/手のひらは紡ぎ棒を操る。
新改訳は、「彼女は糸取り棒に手を差し伸べ、手に糸巻きをつかむ。」です。
●20節.彼女は苦しむ人に手を開き/貧しい人に手を差し伸べる。
新改訳は、「彼女は悩んでいる人に手を差し出し、貧しい者に手を差し伸べる。」です。
彼女は、自分の家庭だけにうずもれることなく、「悩んでいる人」「貧しい者」にも手を差し伸べています。
原文は「手のひらを広げて、手を差し伸べて」とあるそうです。
「手をひらを広げる」とは「気前よく与える」ことを意味し、「手を差し伸ばす」とは「親切を施す」ことを意味するそうです。
●21節.雪の日も一家に恐れはない/家族は皆、衣を重ねているからだ。
新改訳は、「彼女は家の者のために雪を恐れない。家の者はみな、あわせの着物を着ているからだ。」です。
彼女は、副業で夫を助け、貧しい者に手を差し伸べて、皆が寒い思いをしないように家族のこともよく考えています。
「あわせの着物」の原語は「二、二重」を意味しますが、七十人訳聖書では「緋の衣」と訳しています。
なぜなら緋色は「二度染め」を意味するそうですから、ここは「二枚重ねになった贅沢な服」と理解できます。
●22節.彼女は自分のために上掛けを織り/上質の亜麻布と紫の衣を着る。
新改訳は、「彼女は自分のための敷き物を作り、彼女の着物は亜麻布と紫色の撚り糸でできている。」です。
●23節.彼女は自分のために上掛けを織り/上質の亜麻布と紫の衣を着る。
新改訳は、「夫は町囲みのうちで人々によく知られ、土地の長老たちとともに座に着く。」です。
「町囲み」というのは門のことで、行政的な手続きが行なわれる所です。
つまり夫は、行政的な手続きをしている仕事に携わっていて、それを賢い妻が支えています。
●24節.彼女は上質の亜麻布を織って売り/帯を商人に渡す。
新改訳は、「彼女は亜麻布の着物を作って、売り、帯を作って、商人に渡す。」です。
彼女の作った衣類は、家庭だけでなく販売して家計の足しにしています。
●25節.力と輝きが彼女の衣服。/彼女は前途に憂いなくほほ笑む。
新改訳は、「彼女は力と気品を身につけ、ほほえみながら後の日を待つ。」です。
「後の日を待つ」ですから、彼女は、勤勉に働いているので安定した未来を期待できる、ということでしょう。
●26節.口を開いて知恵を語り/慈しみの教えをその舌に乗せる。
新改訳は、「彼女は口を開いて知恵深く語り、その舌には恵みのおしえがある。」です。
彼女は勤勉に働くだけでなく、口を開けば、その生活を物語っている恵みの言葉が出てくるのでしょう。
●27節.一家の歩みによく目を配り/怠惰の食物を貪ることはない。
新改訳は、「彼女は家族の様子をよく見張り、怠惰のパンを食べない。」です。
女は家の事をよくかえりみて、怠りのかてを食べることをしないのです。
怠けようとすれば、怠けられるのが主婦業ですが、怠惰のパンを食べないとしています。
●28節.子らは立ち上がって彼女を祝し/夫も彼女をたたえて言う。
新改訳は、「その子たちは立ち上がって、彼女を幸いな者と言い、夫も彼女をほめたたえて言う。」です。
子供からほめられるだけでなく、夫もほめられています。
●29節.「有能な働きをなす女は多いが/あなたはそのすべてにまさっている。」
新改訳は、「 「しっかりしたことをする女は多いけれど、あなたはそのすべてにまさっている。」と。」です。
●30節.あでやかさは偽り、美しさは空しい。/主を畏れる彼女こそ、誇ることができる。
新改訳は、「麗しさはいつわり。美しさはむなしい。しかし、主を恐れる女はほめたたえられる。」です。
あでやかさは偽りであり、美しさはつかのまである、しかし主を恐れる女はほめたたえられるのです。
箴言の最後の言葉は、「主を恐れる女はほめたたえられる。」です。
箴言の最初も、主を恐れることが知恵の始めということが書かれていました。
●31節.彼女の手の実りを彼女に与え/その働きを城門でたたえよ。
新改訳は、「彼女の手でかせいだ実を彼女に与え、彼女のしたことを町囲みのうちでほめたたえよ。」です。
箴言31章10〜31節は、イスラエルの理想的な妻とはどういう妻かが取り上げられているのでしょう。
賢い女を纏めてみると、家事の一切を取り仕切り、朝早くから夜遅くまで忙しく働き、家のしもべたちに一日の仕事を割り当て、料理のみならず、家族のために衣服づくりをします。
その衣服つくりは、糸をつむぐことからはじまり、布を織って服を仕立てるのです。なんとまあ、手間のかかることをするのでしょう。
そのおかげで家族は冬の寒さからも守られています。
また彼女は、そうして作った着物を商人に売り、その利益によって土地(畑)を手に入れ、それをぶどう畑にすることで家の経済を豊かにしています。
その勤労さのゆえにたくわえが増えて、生活は安定し、将来も心配がありません。
夫は、町の門の役人で、「夫は町囲みのうちで人々によく知られ、土地の長老たちとともに座に着く。」ですから、多くの人に知られていますので、有能な妻を持った夫は、理想的な家庭としてほめたたえられます。
まだありましたね、悩む者や貧困者に対しても、彼女は「手を差し伸べて」親切にしています。
そして、彼女は、知恵深く(神に従っている人)語る口をもち、その舌には恵みのおしえがあり、気品と知恵があります。
それゆえ、彼女の子どもたちは自分の母を幸いな者と言い、夫も彼女を「しっかりしたことをする女は多いけれど、あなたはそのすべてにまさっている」と称賛しています。
そして箴言は、このような「しっかりした妻をだれが見つけることができよう」と問いかけています。
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