旧約聖書の預言とヨハネの黙示録(1)
旧約聖書の預言とヨハネの黙示録(1)
キリストの弟子の一人ヨハネが書いたヨハネの黙示録は人間社会の終わりを告げる預言書として知られていますが、このヨハネの黙示録にもダニエル書と同様、世界の歴史についての預言が書かれています。
ヨハネの黙示録はダニエル書と密接な関係にあるのですが、そのことを両者の該当箇所を比較しながら考えてみたいと思います。
比較1.ダニエル書7章3節から7節とヨハネの黙示録13章1節から2節
<旧約聖書の該当箇所>
●ダニエル書7章3節から7節(四頭の獣の幻)
〇3節.すると、その海から四頭の大きな獣が現れた。それぞれ形が異なり、
〇4節.第一のものは獅子のようなものであったが・・わしの翼が生えていた。
〇5節.第二の獣は熊のようで、横ざまに寝て、三本の肋骨を口にくわえていた。
〇6節.次に見えたのはまた別の獣で、豹のようっであった。背には鳥の翼が四つあり、頭も四つあって、権力がこの獣に与えられた。
〇7節.この夜の幻で更に続けて見たものは、第四の獣で、ものすごく、恐ろしく、非常に強く、巨大な鉄の歯を持ち、食らい、かみ砕き、残りを足で踏みにじった。他の獣と異なって、これには十本の角があった。
<ヨハネの黙示録の該当箇所>
●ヨハネの黙示録13章1節から2節(二匹の獣)・・海から上がってくる反キリスト。
〇1節「わたしはまた、一匹の獣が海の中から上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。それらの角には十の王冠があり、頭には神を冒瀆するさまざまの名が記されていた。
〇2節「わたしが見たこの獣は、豹に似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と王座と大きな権威とを与えた。」
●比較
上記ヨハネの黙示録13章1節と2節とダニエル書7章4節から7節を比較し、出てきた獣の特徴を比較しますと、
ダニエル7章 黙示録13章 該当する国家
(海から四頭の獣) (海から上がった獣) (該当する国家)
獅子 獅子の口 バビロン
熊 熊の足 メデイア・ペルシヤ
豹 豹に似ている ギリシヤ
十本の角を持つ獣 十本の角 艱難時代の始まりに起こる十のブロック
ヨハネの黙示録13章は、海から上がってくる獣、この「獣」は、反キリストを象徴します。反イスラエルでもあります。
「十本の角」は十カ国連合で、「七つの頭」とは、その帝国主義の支配形態を表すのでしょう。
比較2.ダニエル書7章25節とヨハネの黙示録13章5節から7節
<旧約聖書の該当箇所>
●ダニエル書7章25節
〇25節.彼はいと高き方に敵対して語りいと高き方の聖者らを悩ます。
彼は時と法を変えようとたくらむ。
聖者らは彼の手に渡され一時期、二時期、半時期がたつ。
<ヨハネの黙示録の該当箇所>
●ヨハネの黙示録13章5節から7節・・海から上がってくる反キリスト。
〇5節.この獣にはまた、大言と冒瀆の言葉を吐く口が与えられ、四十二か月の間、活動する権威が与えられた。
〇6節.そこで、獣は口を開いて神を冒瀆し、神の名と神の幕屋、天に住む者たちを冒瀆した。
〇7節.獣は聖なる者たちと戦い、これに勝つことが許され、また、あらゆる種族、民族、言葉の違う民、国民を支配する権威が与えられた。
●比較
黙示録の「大言と冒瀆の言葉を吐く口が与えられ、四十二か月の間、活動する権威が与えられた。」獣は四十二か月の活動期間が与えられます。
この四十二か月は、ダニエル書の獣も「一時期、二時期、半時期」ですから三年半で四十二か月と同じ活動期間です。
また、ダニエル書は「大言と冒瀆の言葉を吐く口が与えられ、」「いと高き方の聖者らを悩ます」「神の名と神の幕屋、天に住む者たちを冒瀆」とありますが、その後の歴史上の権力者でこの特徴に該当するのは、中世のローマ・カトリックとする見方があるのを記しておきます。
また、ヨハネの黙示録13章5節の四十二か月は、三年半になります。
ダニエル書の「一時期、二時期、半時期」は、「1年と2年と半年」と同じ意味で42か月(三年半)となり1260日の期間を表します。
また、聖書の預言の解釈には、一日を一年と換算する見方もあります(民数記14章34節、エゼキエル書4章6節)。
比較3.ダニエル書7章2節・3節と7節とヨハネの黙示録13章1節と11節
<旧約聖書の該当箇所>
●ダニエル書7章2節・3節と7節(四頭の獣の幻)
〇2節.ある夜、わたしは幻を見た。見よ、天の四方から風が起こって、大海を波立たせた。
〇3節.すると、その海から四頭の大きな獣が現れた。それぞれ形が異なり、
〇7節.この夜の幻で更に続けて見たものは、第四の獣で、ものすごく、恐ろしく、非常に強く、巨大な鉄の歯を持ち、食らい、かみ砕き、残りを足で踏みにじった。他の獣と異なって、これには十本の角があった。
<ヨハネの黙示録の該当箇所>
●ヨハネの黙示録13章1節と11節・・海から上がってくる反キリスト。
〇1節.わたしはまた、一匹の獣が海の中から上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。それらの角には十の王冠があり、頭には神を冒瀆するさまざまの名が記されていた。
〇11節.わたしはまた、もう一匹の獣が地中から上って来るのを見た。この獣は、小羊の角に似た二本の角があって、竜のようにものを言っていた。
●比較
比較対象は、ヨハネの黙示録13章1節の「十本の角と七つの頭」の箇所とダニエル書の「十本の角」、また、「海の中から上って来る」一匹の獣とダニエル書にはない11節の「地中から上って来る」一匹の獣です。
ダニエル書7章に預言されていた歴史は、ローマ帝国の崩壊から反キリストの台頭まででしたが、問題はこの黙示録13章11節の「地中から上って来る」獣の登場です。
ダニエル書7章とヨハネの黙示録13章に出てきた、今までの獣は「海」から出てきましたが、11節のこの獣は「地」から出てくるところです。
「海」は、黙示録17章15節に「天使はまた、わたしに言った。「あなたが見た水、あの淫婦が座っている所は、さまざまの民族、群衆、国民、言葉の違う民である。」ですから、さまざまな民族が集まっているところ(ヨハネの黙示録17章15節、イザヤ書17章12節、エレミヤ書46章7節)ですから、異邦人社会全体を表すと思います。
「海」が異邦人社会全体でしたら、「地」はそれと対義的な存在(ユダヤ人ではない)と推測されます。
異邦人でなく(ユダヤ人でないがユダヤ人が大きな勢力を持っている勢力と考えて)、また、キリスト教国と言えないが、「小羊の角に似た」で、「小羊」は、聖書ではイエス・キリストを表しますから、キリストとかかわりがある強力な存在」、また、世界的な影響力を持つ国という条件で歴史を見てみると、あてはまる国はアメリカ以外にないのではないかとする説が成り立ちます。
すなわち、終わりの日の艱難時代には、偽預言者なる「獣」が、アメリカ合衆国の民を反キリストに誘導するのです。
ただし、あくまでも推測です。
比較4.ダニエル書7章7節・8節・24節とヨハネの黙示録13章1節
<旧約聖書の該当箇所>
●ダニエル書7章7節・8節・24節(四頭の獣の幻、第四の獣)
〇7節.この夜の幻で更に続けて見たものは、第四の獣で、ものすごく、恐ろしく、非常に強く、巨大な鉄の歯を持ち、食らい、かみ砕き、残りを足で踏みにじった。他の獣と異なって、これには十本の角があった。
〇8節.その角を眺めていると、もう一本の小さな角が生えてきて、先の角のうち三本はそのために引き抜かれてしまった。この小さな角には人間のように目があり、また、口もあって尊大なことを語っていた。
〇24節.十の角はこの国に立つ十人の王/そのあとにもう一人の王が立つ。彼は十人の王と異なり、三人の王を倒す。
<ヨハネの黙示録の該当箇所>
●ヨハネの黙示録13章1節(海から上がってくる反キリスト)
〇1節.わたしはまた、一匹の獣が海の中から上って来るのを見た。これには十本の角と七つの頭があった。それらの角には十の王冠があり、頭には神を冒涜する様々な名が刻まれていた。
●比較
ヨハネの黙示録13章1節の「海の中から上って来る」一匹の獣は、つまり異邦人社会の反キリストです。
ダニエル書7章24節に「十の角はこの国に立つ十人の王/そのあとにもう一人の王が立つ。彼は十人の王と異なり、三人の王を倒す。」とありますから、黙示録の「十本の角と七つの頭」は、十人の王、すなわち、十の国家権力を表し、終わりの日に世界を統治するの十か国連合のことでしょう。
ちなみにこの連合国のうちの「三人の王を倒す」ですから、十の国家権力の内三カ国は反キリストによって滅ぼされることがダニエル書に預言されています。(ダニエル書7章8節)
« .終末預言(2) | トップページ | 旧約聖書の預言とヨハネの黙示録(2) »
「おじさんの聖書」カテゴリの記事
- なぜこの世界があるのか(3)(2025.10.01)
- なぜこの世界があるのか(2)(2025.10.01)
- なぜこの世界があるのか(1)(2025.10.01)
- 旧約聖書の預言とヨハネの黙示録(4)(2025.10.01)
- 旧約聖書の預言とヨハネの黙示録(3)(2025.10.01)


コメント