ダニエル書で見る世界の歴史
ダニエル書で見る世界の歴史
ダニエルは旧約聖書に出てくる預言者で、王族の出身で若くしてイスラエルがバビロンに敗れバビロンに連れて行かれましたが、捕囚先では神の教えを守って多くの試練を乗り越えました。預言者の中でも重要な人物です。
ダニエル書2章には、世界の強国の興亡とキリストの再臨が預言されています。そして、この預言はダニエル書7章でさらに詳しく描かれていますので、その箇所を参考にして解釈をしてみたいと思います。
2章では、「巨大な像の夢」の話し、すなわち、当時の世界帝国であったバビロンの王ネブカドネザルが見た夢を、預言者ダニエルが解き明かすという話が登場します。
ネブカドネザル王の見た夢をダニエルは説明し、そして解き明かしました。
ダニエルはこの夢を2章28節で「だが、秘密を明かす天の神がおられ、この神が将来何事が起こるのかをネブカドネツァル王に知らせてくださったのです。王様の夢、お眠りになっていて頭に浮かんだ幻を申し上げましょう。」
29節で、「お休みになって先々のことを思いめぐらしておられた王様に、神は秘密を明かし、将来起こるべきことを知らせようとなさったのです。」と言っています。
つまり王が見た夢はこれから起こることの預言的啓示だということです。
その中には、現在から見てすでにその預言が実現してしまったものもあれば、これから実現するものがあります。
なお、先に投稿したカテゴリー「ダニエル書を読む」で逐条解釈をしていますので、重複し、また少し違うところがあってもご容赦ください。
このように何度も同じ個所を読み考えてみるのは、聖書を読み理解するうえで、それほど重要な個所だと認識しているからです。
<夢の解釈>
ダニエルは王に「王様、あなたは一つの像を御覧になりました。それは巨大で、異常に輝き、あなたの前に立ち、見るも恐ろしいものでした。(31節)と言っています。
それは、頭が純金、胸と両腕が銀、腹と腿が青銅、すねは鉄、足の一部は鉄、一部が粘土でつくられた大きな像の夢でした。
聖書箇所は、2章32節から35節・40節から44節です。
〇32節.「それは頭が純金、胸と腕が銀、腹と腿が青銅、」
〇33節.「すねが鉄、足は一部が鉄、一部が陶土でできていました。」
この解釈は、
・32節の頭が純金は新バビロニア王国。第一の国です。新バビロニア王国は、ネブカドネザル王がバビロンをその当時の最も輝かしい都にした王国です。
金が豊かに産出されたので、都市の建設には、大量の金が使用されたそうです。
・32節の胸と両腕は銀で、アケメネス朝ペルシャ、二本の銀の腕は、当初はメディアとペルシャの連合国でしたが、やがて、ペルシャ帝国に統一されます。この帝国は税制度に銀を使用したそうです。
バビロンが滅んだ後の世界を支配したのは、ペルシャ帝国でした。(第二の国)
・32節の腹と腿は青銅で、第三の国ギリシャ(アレキサンダー大王)です。ダニエル書2章39節に全世界を治めるとあるように、この国は先の大国よりもさらに広大な地域を支配し、ほぼ全世界を手中に収めます。(第三の国)
また、取引において、また戦争においてギリシャは青銅を使用しました。特にギリシャ兵は青銅の武具で有名でした。
・33節のすねは鉄でローマ帝国。第四の国です。
ローマは鉄のように強く、鉄はすべての物をことごとく国々を打ち砕きます。
〇2章40節「第四の国は鉄のように強い。鉄はすべてを打ち砕きますが、あらゆるものを破壊する鉄のように、この国は破壊を重ねます。」とあります。
ギリシャのアレキサンダー大王の死後、分裂していったそれぞれの国々を滅ぼしていったのが、ローマ帝国でした。
・33節の足と足指は一部が鉄で一部が粘土で終わりの日に盛衰を繰り返す脆い国々と思われます。
〇2章41節「足と足指は一部が陶工の用いる陶土、一部が鉄であるのを御覧になりましたが、そのようにこの国は分裂しています。鉄が柔らかい陶土と混じっているのを御覧になったように、この国には鉄の強さもあります。」
〇2章42節、「足指は一部が鉄、一部が陶土です。すなわち、この国には強い部分もあれば、脆い部分もあるのです。」
〇2章43節、「また、鉄が柔らかい陶土と混じり合っているのを御覧になったように、人々は婚姻によって混じり合います。しかし、鉄が陶土と溶け合うことがないように、ひとつになることはありません。」とあります。
・2章41節の「足と足指は一部が陶工の用いる陶土、一部が鉄であるのを御覧になりましたが、そのようにこの国は分裂しています。」ですが、この夢の像にとって「足と足指」は重要な部分です。
鉄とどろどろの粘土が混じり交じり合っていて、42節にあるように、その国の一部は鉄のように強く、一部は粘土のように脆い状態です。
そして、「人々は婚姻によって混じり合います。しかし、鉄が陶土と溶け合うことがないように、ひとつになることはありません。」、つまり、互いに団結することはないということですから、それはきわめてもろい関係を表わしています。
足が二本あるように、鉄で象徴されたローマ帝国は東西に分裂し、やがて滅亡し、その後、足の指のように、統一されることなく、足の指が十本あるように十の国に分かれるのです。
ダニエルは2章43節で、この国が「人々は婚姻によって混じり合います。しかし、鉄が陶土と溶け合うことがないように、ひとつになることはありません。」と預言します。
つまり、第一の国から第四の国のように、もはや一つの巨大な帝国が現れることはないことを示唆しています。
足指が象徴する十に分かれた国は、7章7節の「十本の角」がある国と符合するのでしょう。この国は、終わりの日に台頭する世界帝国の予表でしょう。
なお、「10本の足の指」ないし「10本の角」は、ある種の同盟によって結ばれた王たちを象徴しているのではということです。
第四の国ローマが分裂、崩壊した後には第五の国と呼ばれるような巨大な国は現れないのでしょう。
それは、同盟とか連合体でしょうか、住民は婚姻など(婚姻とか連合体、同盟、融合政策など)でまじりあいますが、「それらが互いに団結することはない」というのは、第一の国から第四の国のように、もはや一つの巨大な帝国が支配することはないことを示唆しています。ますが、一つになることはないのです。
その勢力は、やがて、イスラエルに敵対する勢力として立ち上がります。
特にその中から偽預言者に騙されて反キリストの勢力が立ち上がり、ユダヤ人は艱難時代を迎えるのです。
この反キリストをローマ・カトリックの台頭とする見方がありますが、わかりません。
ヨハネの黙示録によれば、その後で、天の神は反キリストの国を滅ぼして永遠の御国千年王国を立てられます。
バビロンから始まって最後の反キリストが打倒されるまでの期間、つまり異邦人によってイスラエルの民(ユダヤ人)が支配されている時代のことを「異邦人の時」と称しています。
新約聖書のルカの福音書21章24節でイエスは、「人々は剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれる。異邦人の時代が完了するまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされる。」と預言されています。
やがて、「一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と陶土の足を打ち砕き」ます。(ダニエル書2章34節・35節)
〇2章34節「見ておられると、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と陶土の足を打ち砕きました。」
〇2章35節「鉄も陶土も、青銅も銀も金も共に砕け、夏の打穀場のもみ殻のようになり、風に吹き払われ、跡形もなくなりました。その像を打った石は大きな山となり、全地に広がったのです。」
・34節の「一つの石が人手によらずに切り出され、」、ですから、人の手によって生まれたのではない一つの石によって、その像の「鉄も陶土も、青銅も銀も金も共に砕け、夏の打穀場のもみ殻のようになり、風に吹き払われ」あとかたもなくなるのです。
この意味は、終わりの日の異邦人の時(後記)が終わったことを意味しているのでしょう。そしてその後に、この「石」によって「一つの国」を打ち立てられるのです。
・35節の石は、イエス・キリストの再臨を預言します。石は単数形です。
「その像を打った石は大きな山となり、全地に広がったのです。」(35節)から全世界を制覇した「石」であるイエス・キリストの国、そう、千年王国が誕生するのです。(ヨハネの黙示録20章)
その一つの石によって「鉄も陶土も、青銅も銀も金」の国々は、「共に砕け、夏の打穀場のもみ殻のようになり、風に吹き払われ、跡形もなくな」るのです。
そして、天の神は一つの国を立てられます。……そしてこの国は立って永遠に至るのです。
その「一つの国」とは永遠に滅ぼされることのない国、永遠に立ち続ける国を意味します。
〇2章44節「この王たちの時代に、天の神は一つの国を興されます。この国は永遠に滅びることなく、その主権は他の民の手に渡ることなく、すべての国を打ち滅ぼし、永遠に続きます。」です。
なお、「石」がイエス・キリストを象徴している参考箇所は、第一コリント10章4節で石を「霊的な岩」としています。」、イザヤ28章16節で「わたしは一つの石をシオンに据える。」、ルカの福音書20章17節から18節で、「家を建てる者の打てた石、これは隅の親石となった。」です。
このように34節の「人手によらずに切り出され、その像の鉄と陶土の足を打ち砕人手によらず切り出された石が像を砕く」の石はイエス・キリストを指し、キリストの再臨とキリストが治めるこの地上に打ち建てられる御国です。すなわち、再臨したキリストが統治する千年王国(黙示録20章)を意味しているのでしょう。
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