ダニエル七十週の預言と艱難時代(1)
ダニエル七十週の預言と艱難時代(1)
<前置きと聖書箇所>
最初に書いておきますが、この箇所は、すでにカテゴリー「ダニエル書を読む」に投稿しておりますが、頭を新たにして解釈を再度試みました。
前回と違った解釈があるかと思いますが、ご容赦ください。
さて、「ダニエル七十週の預言」は、終わりの日のキリストの再臨へ向かうタイムテーブルと言われています。
ヨハネの黙示録の艱難時代の目的とその時を理解するためには、ここダニエル書9章24-27節を理解する必要があるとされています。
この箇所でダニエルは、神がユダヤ人とイスラエル国家に対し、預言された七十週のことを述べています。
この世界は、創造以前に定められた神の計画により、イエス・キリストの死と復活を中心に、堕落した人類を救う神の御業であり神の摂理で運営されています。いわゆる人類救済史。
言い換えれば、この世界の出来事は、堕落した人類と万物を新たにしようとする神の御業、それは、新しい天地と新しい人類の創造という壮大な神のご計画によって行われているのです。
まず、創世記以降新しい天地、新しい人類が誕生するまでの出来事を、神の人類救済史とすれば、その流れの中での現在の位置をダニエル書の預言を確認しておきたいと思います。
ダニエル書9章の七十週の預言は、紀元前6世紀に生きたユダヤ人の預言者ダニエルが、神から啓示されたものを記したもので、救い主メシアの到来とイスラエルの状態、終わりの日に関係する具体的なタイムテーブルを示しています。
なお、ダニエル書は、紀元前二世紀ごろ、シリア王アンティオコス四世の迫害に苦しむユダヤ人同胞を励ますために書かれたとありますから、イエス・キリストが地上初臨される200年ほど前になります。
ですから、前に投稿したダニエル書の投稿文の「前置き」に記した成立年月日紀元前550年は、間違っていることになります。
聖書箇所は、9章24節から27節です。
神はダニエルに、「このみ言葉を悟り、幻を理解せよ」という言葉と共に幻と共に語られます。それが「七十週預言」と言われるものです。
●24節.お前の民と聖なる都に対して
七十週が定められている。
それが過ぎると逆らいは終わり
罪は封じられ、不義は償われる。
とこしえの正義が到来し
幻と預言は封じられ
最も聖なる者に油が注がれる。
●25節.これを知り、目覚めよ。
エルサレム復興と再建についての
御言葉が出されてから
油注がれた君の到来まで
七週あり、また、六十二週あって
危機のうちに広場と堀は再建される。
●26節.その六十二週のあと油注がれた者は
不当に断たれ
都と聖所は
次に来る指導者の民によって荒らされる。
その終わりには洪水があり
終わりまで戦いが続き
荒廃は避けられない。
●27節.彼は一週の間、多くの者と同盟を固め
半週でいけにえと献げ物を廃止する。
憎むべきものの翼の上に荒廃をもたらすものが座す。そしてついに、定められた破滅が荒廃の上に注がれる。」
聖書では、「一週」は7年を示しますので、七十週は、490年になります。同様に、「七週あり、また、六十二週あって」は、七週は49年、六十二週は434年で合計483年と残り7年となります。
「七十週」が定められているのは、「お前の民(ユダヤ人)と聖なる都(エルサレム)に対してです。
「七十週の預言」には、下記の通り艱難期の六つの計画(あるいは目的)が記されています。
1.逆らいが終わる。2.罪は封じられる。3.不義は償われる。4.とこしえの正義が到来する。5.幻と預言は封じられる。6.最も聖なる者に油が注がれる
このうち、1から3.は、神の一方的な恵みによりメシアキリストの十字架死と復活により全人類についてすでに実現していますが、神の民イスラエルはまだその恵みを民族として受け入れていません。
4から6は、最も聖なる者は、やがて終わりの日の7年の艱難期の終わりに地上再臨されるイエス・キリストによって実現するのです。(ヘブライ人への手紙9章28節)。
つまり、4の「とこしえの正義」は、「最も聖なる者に油が注がれる。」ことによって成就するのですから、完全なメシア王国でしか成り立たないし、5の「幻と預言は封じられる。」は、聖書のすべての幻と預言が成就したときにはもう、幻と預言は必要ないのですから、当然封じられます。
6の「最も聖なる者に油が注がれる」のは、メシア王国(千年王国)の時代に建てられる第四神殿において実現するのでしょう。
それは、イエスキリストの地上再臨の後で、神はこのメシアキリストが来られる七十週(490年)までの間にこれらすべてを成し遂げると宣言されているのです。
<70週の期間は未完成>
この70週の計算の起点は、エルサレム再建の命令が「御言葉が出されてから」ですから、神のエルサレム神殿再建命令が出た時点と解釈されています。
そうすると、エルサレム再建の命令からメシヤキリストが絶たれるまで69週(483年)ですから、70週には満たず、24節の「逆らいは終わり罪は封じられ、不義は償われる。とこしえの正義が到来し幻と預言は封じられ、最も聖なる者に油が注がれる。」が成就するまで、あと1週(7年)を残してメシアキリストは死んでしまったことになります。
この最後の7年間がヨハネの黙示録で7年の艱難時代として知られている期間(全期間70週からイエス・キリスト初臨まで69週を経過、残り1週)になるのでしょう。
なお、26節の「次に来る指導者の民」というのは、終わりの日の艱難時代に活躍する「獣」と呼ばれる偽キリスト(反キリスト)の型なのでしょう。
その7年の艱難時代が終わって初めて、神がイスラエルの罪の裁きを終えられるときになるのでしょう。
エルサレム再建命令から69週(483年)を経ましたが、エルサレムとユダヤ人にとこしえの平和が到来するまで最後の1週(7年)がまだ残っています。
それは、24節の「それが過ぎると逆らいは終わり罪は封じられ、不義は償われる。とこしえの正義が到来」する事態はまだ実現していませんから明らかです。
<エルサレム再建命令>
70週の期間の起算点は、25節では、「エルサレム復興と再建についての
御言葉が出されてから」となっていますが、4つの説があるそうです。
その中で有力なのが、二つで、一つは、紀元前457年、ペルシアの王アルタシャスタ王の第七年目と理解する説(ダニエル9章25節「エルサレム復興と再建のみ言葉が出たとき」)。
この説に従えば、7週と62週の後、すなわち483年後である紀元前27年にメシアキリストは公的生涯を開始し、その3年後に十字架で殺されるので、「油注がれた者は不当に断たれ」(ダニエル9章25節から26節)という預言の成就となります。
二つ目は、最も可能性が高く、紀元前539年とするペルシアの王キュロスによる勅令の時と理解する説(歴代誌下36章22節から23節)です。
この説の根拠は、イザヤ書44章28節「キュロスに向かって、わたしの牧者、わたしの望みを成就させるもの。』と言う主の言葉。同44章28節「エルサレムには、再建される、と言い神殿には基が置かれる、という。」の預言の成就という観点からです。
紀元前539年という年代が怪しいとされていますが、キュロス王はエルサレムを回復し再建せよとの「命令」を与えた人であったことは確かですから、この時が七十週の起点となる年になります。
そして26節の「油注がれた者」が出現するまでが、聖書によれば483年(7×7+7×62=49+434 =483)と合致します。
この日は、メシアキリストが「油注がれた者」で油注がれたときは、公生涯に入られる洗礼の時とします。
<メシア殺害の預言>
25節と26節では、「エルサレム復興と再建についての御言葉が出されてから」70週に1週満たない7週と62週(合計69週)で、メシヤ(油注がれた者)が「不当に断たれ」と. 告げています。
この計算の起点ですが、25節に「エルサレム復興と再建についての御言葉が出されてから」とありますから、「エルサレムを再建せよ」という再建命令が神からなされ、その年から483年後に、初臨のメシアが到来し、「不当に断たれ」ですから、その後メシアは殺されるのです。
このメシアはイエス・キリストとすると、預言通りイエスは、エルサレムの再建命令から483年後に、十字架刑にかけられて死にました。
メシヤキリストが来られて、「逆らいは終わり罪は封じられ、不義は償われる。とこしえの正義が到来」する計画でしたが、そのキリストが70週に満たない69週で殺されるのです。
<残された1週(7年)>
さて、70週からメシアキリストが洗礼を受けたときまで69週(483年)を引くと1週(7年)が残ります。
この7年は終わりの日の艱難期とされていますが、それは、メシアキリストが十字架で殺され、紀元70年にエルサレムの神殿はローマ軍によって完全に破壊され、ユダヤ人は世界に離散するようになりました。
それ以来、預言された神の歴史は止まったままの状態です。
ところが、1948年にイスラエルは建国し、ユダヤ人たちはエルサレムに帰還しつつありますが、エルサレムの神殿はまだ再建されていないし、メシアキリストを受け入れる準備もできていません。
また、イエスは、マタイの福音書24章15節で弟子から世の終わりについて「あなたが来られて世が終わるときには、どんな印」があるのですかと問うていますから、イエスが70週目の最後の週を、彼の時代よりも未来を指して言及しているのでしょう。
神の歴史が再び動き出し、完成に向かうのは、ユダヤ人の帰還と神殿の再建というこの二つがそろった時で、つまり、最後の1週(7年間の艱難時代)以降と言えます。
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