エトロのモーセ訪問(18章)
聖書の箇所は、18章1節から27節です。
●1節.モーセのしゅうとで、ミディアンの祭司であるエトロは、神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと、すなわち、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。
イスラエルの民は、主の命令で水を求めてレフィディムに来たのですが、水はありませんでした。
民はそこからさらに南に向かって進みミディヤンの地(モーセが40歳から80歳まで過ごす)にやってきました。
モーセがミディヤンの地にいたとき、彼は祭司エトロのところで世話になっていました。
エトロは、モーセが七人の羊飼いの娘を助けた(2章16節)ことがありましたが、その娘たちの父がエトロでした。
モーセはエトロのところで、娘のひとりツィポラを嫁として与えられ、ふたりの息子を生みました。
そのエトロが、「神がモーセとその民イスラエルのためになされたすべてのこと(出エジプト)、」を、聞いたのでしょう。
●2節.モーセのしゅうとエトロは、モーセが先に帰していた妻のツィポラと、
●3節.二人の息子を連れて来た。一人は、モーセが、「わたしは異国にいる寄留者だ」と言って、ゲルショムと名付け、
●4節.もう一人は、「わたしの父の神はわたしの助け、ファラオの剣からわたしを救われた」と言って、エリエゼルと名付けた。
ミディヤンの地にやってきたモーセにしゅうとエトロが会いに来ます。
ミディヤンの地は、モーセが出エジプトの前にエジプトを逃れて逃げてきた地で、モーセはそこでエトロの子ツィポラと結婚して二人の子供がおります。
二人の息子がエトロのところに先に帰っていたのは、二人の息子が無割礼だったからです。
エトロは、モーセが「先に帰していた妻のツィポラと、」二人の息子を連れてモーセに会いに来ました。
二人の息子の長男の名は、ゲルショム(意味は、私は外国にいる寄留者だ。)でもう一人次男は、エリエゼル(意味は、「私の父の神は私の助けであり、パロの剣から私を救われた。」という意味だそうです。
●5節.モーセのしゅうとエトロは、モーセの息子たちと妻を連れて荒れ野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。
しゅうとのエトロは、「モーセの息子たちと妻を連れて荒れ野に行き、神の山に宿営しているモーセのところに行った。」のです。
●6節.彼はモーセに、「あなたのしゅうとであるわたし、エトロがあなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えると、
モーセたちは神の山に宿営していますが、アマレクとの戦いに勝利して、さらに南下を続け神の山ホレブに宿営しているのでしょう。
しゅうとのエトロはモーセに、「あなたのしゅうとであるわたし、エトロがあなたの妻と二人の子供を連れて来た」と伝えます。
しかし、ここにわざわざ二人の息子の名が出てきて、モーセのもとに連れて来られたのは、彼らが重要な人物になっていたからでしょう。
●7節.モーセは出て来てしゅうとを迎え、身をかがめて口づけした。彼らは互いに安否を尋ね合ってから、天幕の中に入った。
モーセは出て来てしゅうとら家族を迎えます。彼らは互いに安否を尋ね合ってから、天幕の中に入ります。
モーセは、さぞかし、うれしかったことでしょう。懐かしかったでしょう。
別れたのは主エジプトの直前ですから、一年くらいでしょうか。
「身をかがめ」とありますが、エトロはモーセのしゅうとであると同時にミディヤンの祭司でもありましたので、敬意を表しているのでよう。
●8節.モーセはしゅうとに、主がイスラエルのためファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、すなわち、彼らは途中であらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたことを語り聞かせると、
モーセは、出エジプトに際し、「主がイスラエルのためファラオとエジプトに対してなされたすべてのこと、途中であらゆる困難に遭遇したが、主が彼らを救い出されたこと」、そして主が彼らを救い出された次第を語ったのでしょう。
●9節.エトロは、主がイスラエルをエジプト人の手から救い出し、彼らに恵みを与えられたことを喜んで、
●10節.言った。
「主をたたえよ
主はあなたたちをエジプト人の手から
ファラオの手から救い出された。
主はエジプト人のもとから民を救い出された。
●11節.今、わたしは知った
彼らがイスラエルに向かって
高慢にふるまったときにも
主はすべての神々にまさって偉大であったことを。」
しゅうとの異邦人であるエトロは、主をほめたたえる歌を歌い、次節で捧げものをしていますから、イスラエルの神に礼拝しています。
しゅうとのエトロは、もちろんイスラエル人ではありません、異邦人です。
しかし、祭司ですから異邦人の神々を拝んでいたのでしょう。
けれども彼はかつて、モーセからヤハウェという、イスラエルの神について聞いています。
どうやら、しゅうとのエトロは、まことの神を、モーセを通して求め始めていたのかもしれません。
しゅうとのエトロは、今は、モーセから出エジプトの際のいろいろな主の助けを聞き、イスラエルの神、ヤハウェが他の神々にまさる、生ける、まことの神であることを認めたのでしょう。
しゅうとのエトロにとっては、エジプトは強大な国で敗れることなど考えられないことであったのでしょう。出エジプトは、真に驚くべきことであったのでしょう。
●12節.モーセのしゅうとエトロは焼き尽くす献げ物といけにえを神にささげた。アロンとイスラエルの長老たちも皆来て、モーセのしゅうとと共に神の御前で食事をした。
しゅうとのエトロは、イスラエルの神に「焼き尽くす献げ物といけにえを」ささげています。
しかし、異邦人であるエトロがイスラエルの神である主(ヤハウェ)をほめたたえたのです。
モーセはエトロにとって娘婿ですから、主に関する知識を持っていたと思います。
今、モーセから出エジプトでの出来事を聞いて、改めて体験的に主を知ったのです。
●13節.翌日になって、モーセは座に着いて民を裁いたが、民は朝から晩までモーセの裁きを待って並んでいた。
この「裁き」というのは、民の間で起こっているもめごとの裁きを指すのでしょプ。
●14節.モーセのしゅうとは、彼が民のために行っているすべてのことを見て、「あなたが民のためにしているこのやり方はどうしたことか。なぜ、あなた一人だけが座に着いて、民は朝から晩まであなたの裁きを待って並んでいるのか」と尋ねた。
エトロはモーセに「なぜ、あなた一人だけが座に着いて、」裁きを行っているのかと問いかけて、驚いています。
●15節.モーセはしゅうとに、「民は、神に問うためにわたしのところに来るのです。
●16節.彼らの間に何か事件が起こると、わたしのところに来ますので、わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」と答えた。
●17節.モーセのしゅうとは言った。「あなたのやり方は良くない。
●18節.あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。
モーセが民の間の裁きを一人で行っていることに対し、エトロは、「「あなたのやり方は良くない。あなた自身も、あなたを訪ねて来る民も、きっと疲れ果ててしまうだろう。このやり方ではあなたの荷が重すぎて、一人では負いきれないからだ。」と感想を述べます。
●19節.わたしの言うことを聞きなさい。助言をしよう。神があなたと共におられるように。あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、
●20節.彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教えなさい。
●21節.あなたは、民全員の中から、神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立てなさい。
●22節.平素は彼らに民を裁かせ、大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、あなたの負担を軽くし、あなたと共に彼らに分担させなさい。
●23節.もし、あなたがこのやり方を実行し、神があなたに命令を与えてくださるならば、あなたは任に堪えることができ、この民も皆、安心して自分の所へ帰ることができよう。」
エトロはモーセに助言します。(19節)
まず、モーセは民の代表として神の前に立ち、民に掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき事を教え、神の民として生きる指針を与えることです。
そのうえで、民の中から、神を恐れる者、能力のある者、不正を憎む誠実な者を選び出して、彼らに権威を分与することです。
21節を読むと、「神を畏れる有能な人で、不正な利得を憎み、信頼に値する人物を選び、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長として民の上に立て」裁きをゆだねるように、また、エトロは22節で、「大きな事件があったときだけ、あなたのもとに持って来させる。小さな事件は彼ら自身で裁かせ、」なさいと言っています。
ということですから、エトロはモーセに責任分担を助言したのです。
●24節.モーセはしゅうとの言うことを聞き入れ、その勧めのとおりにし、
●25節.全イスラエルの中から有能な人々を選び、彼らを民の長、すなわち、千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長とした。
●26節.こうして、平素は彼らが民を裁いた。難しい事件はモーセのもとに持って来たが、小さい事件はすべて、彼ら自身が裁いた。
モーセは素直にエトロの助言を聞き入れ、さっそくエトロの助言通り実行します。
モーセは謙虚ですね。イスラエルの民は200万人から300万人と言われています。
なお、このエトロの助言を実際に実行したのは、かなり後、つまり、モーセに律法が与えられてからのことだということですから、謙虚であるとともに慎重でもあったのです。
主の御心を求め、祈り、行動に移す前に、状況を熟慮しタイミングを計っていたのでしょう。
●27節.しゅうとはモーセに送られて、自分の国に帰って行った。
しゅうとエトロだけが自分の国に帰ったのです。
妻ツィポラと二人の息子はイスラエル人の旅に加わることになります。
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