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2024年1月10日 (水)

ハガルとイシュマエル(創世記21章)

聖書の箇所は、21章9節から21節です。
14節以下イシュマエルは幼子として描かれています。

 

しかし、17章25節ではイシュマエルは割礼を受けたとあり、また、13歳とあり、さらにそこから1年以上経っているわけだから(17章24節、21章5節)、幼子ではありませんので、おかしいです。

 

調べてみますと、おそらくこの21章はベエル・シェバに伝わっていた伝承(おそらく主のイシュマエルに対する言葉か)を無理に挿入したのではないかということです。

 

 

●9節.サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムとの間に産んだ子が、イサクをからかっているのを見て、
●10節.アブラハムに訴えた。「あの女とあの子を追い出してください。あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」

 

9節の「イサクをからかっている」ですが、このときおそらくイサクは2歳か3歳で、イシュマエルは20歳近くになっていたのだと思いますが、二人は仲よく遊んでいたのでしょう。

 

そのお兄さんのイシュマエルがイサクをからかっているのですが、どのようにからかっているかは書いていません。
なお、ここでの「からかっている」と訳されたことばは、「笑う」の分詞、しかもピエル形(強意形)で、それは悪意をもった「からかい方」であって、それでサラは(跡継ぎの問題で)不穏な空気を読んだのではとされています。

 

ただ遊んでいるだけならば、サラが「あの女とあの子を追い出してください。あの女の息子は、わたしの子イサクと同じ跡継ぎとなるべきではありません。」(10節)なんていうことはありません。

 

ガラティア書4章24節は、この二人の女とは、二つの契約を表しています。子を奴隷の身分に産む方は、シナイ山に由来する契約を表していて、これがハガルです。」とありますから、ハガルは律法の子であり、イサクは主によって祝福されたイスラエルの将来を担う約束の子だということでしょう。

 

サラには、そのような約束の子であるイサクが律法の子ハガルにからかわれるようなことがあってはいけないということでしょうが、その背景には、サラのイサクに対する強い愛情があるのでしょう。

 

それにイサクは、主によって年老いてから奇跡的に生まれた子供ですから、さぞ可愛かったことでしょう。
そういうことで、イシュマエルとその母ハガルのことをサラが勝手に敵視というか、おそらく邪推して、アブラハムに頼んでこの二人を荒野へと追い出してしまいました。

 

●11節.このことはアブラハムを非常に苦しめた。その子も自分の子であったからである。

 

アブラハムの気持ちはよくわかります。
夫のアブラハムはいずれも自分の子どもですから非常に苦しみますが、16章の時とは異なり、神はアブラハムに現われて、サラの言うことに聞き従うようにと諭します。(12節)

 

さらに、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれる」こととイシュマエルの子孫も「一つの国民の父とする」(13節)と約束しました。

 

●12節.神はアブラハムに言われた。「あの子供とあの女のことで苦しまなくてもよい。すべてサラが言うことに聞き従いなさい。あなたの子孫はイサクによって伝えられる。
●13節.しかし、あの女の息子も一つの国民の父とする。彼もあなたの子であるからだ。」
主はアブラハムに、「すべてサラが言うことに聞き従いなさい。」と言われ、改めて「あなたの子孫はイサクによって伝えられる。」と伝えられます。

 

サラの言っていることは神の御心にかなったものでした。
神はアブラハムを祝福し、イシュマエルの子孫も祝福するといわれましたが、「あなたの子孫はイサクによって伝えられる。」と言われています。

 

その子孫から、メシヤ・キリストが生まれるのです。
新約聖書の参考箇所は、ガラテヤ書4章28節から31節です。

 

イスラエルはイサクの子孫で、神との契約を受け継ぐ者です。
イサクの子孫たるイスラエル民族こそが選ばれた民であるというイスラエルの民族優越意識がここから生まれたのでしょう。

 

●14節.アブラハムは、次の朝早く起き、パンと水の革袋を取ってハガルに与え、背中に負わせて子供を連れ去らせた。ハガルは立ち去り、ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。

 

アブラハムは「翌朝早く」、神が言われたようにハガルとイシュマエルを送り出しました。
ハガルは立ち去り、 「ベエル・シェバの荒れ野をさまよった。 」

 

アブラハムは、「パンと水の革袋を取ってハガルに与え、」(おそらく、次のオアシスまでの必要な糧食でしょう。)去らせます。
ハガルは、「ベエル・シェバの荒れ野を」さまようとありますが、

 

「ベエル・シェバ」はパレスティナ南部のネゲブ砂漠の北端に接する町です。
ダビデ王の時代のイスラエル領のいちばん南となる町だそうです。

 

「ハガルは荒れ野をさまよった。 」とありますね、これは道に迷ったということなのでしょう。
しかし、送り出された二人は「パランの荒野に住み着いた」(21章21節)とあります。

 

ハガルは息子イシュマエルのために、エジプトの国から妻を迎えました。(21節)
こうして、アブラハムの二人の息子はここから明確に異なる道(系譜)をそれぞれ歩んでいきます。

 

●15節.革袋の水が無くなると、彼女は子供を一本の灌木の下に寝かせ、
●16節.「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」と言って、矢の届くほど離れ、子供の方を向いて座り込んだ。彼女は子供の方を向いて座ると、声をあげて泣いた。

 

アブラハムのところを去るときに持たされた「革袋の水」が道に迷って荒野をさまよっていたので、次のオアシスまで持たず無くなってしまいました。

 

「わたしは子供が死ぬのを見るのは忍びない」ですが、 死にゆくわが子の姿を見るのは忍びない、というハガルの姿は心に迫るものがあります。

 

●17節.神は子供の泣き声を聞かれ、天から神の御使いがハガルに呼びかけて言った。

 

「ハガルよ、どうしたのか。恐れることはない。神はあそこにいる子供の泣き声を聞かれた。
「神は子供の泣き声を聞かれ」、御使いは「恐れることはない。」とハガルに伝えます。

 

●18節.立って行って、あの子を抱き上げ、お前の腕でしっかり抱き締めてやりなさい。わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」

 

神は、再び「わたしは、必ずあの子を大きな国民とする。」と約束されます。

 

●19節.神がハガルの目を開かれたので、彼女は水のある井戸を見つけた。彼女は行って革袋に水を満たし、子供に飲ませた。

 

「神がハガルの目を開かれた」とありますから、ハガルの問題は井戸がなかったことではなく、悲しみのあまり、周りが見ていなかたので、井戸も見えていなかったのでしょう。

 

それで、主がその悲しみを取り除き、ハガルを冷静にして、近くにあった井戸を見えるようにされたのでしょう。

 

●20節.神がその子と共におられたので、その子は成長し、荒れ野に住んで弓を射る者となった。

 

イシュマエルの将来につき、神は16章12節で「彼は野生のろばのような人になる。彼があらゆる人にこぶしを振りかざすので人々は皆、彼にこぶしを振るう。彼は兄弟すべてに敵対して暮らす。」と言われています。

 

事実、イシュマエルは、荒野に住む遊牧民となり、また猟師となりイスラエルに敵対する者となります。
彼の子孫はアラブ人となり、イスラム教を信仰する民族となります。

 

彼らの住むところは必ず石油が産出し、経済的に祝福されています。

 

イシュマエルの子孫は主によって祝福されるのですから、いまは、イスラエルとアラブ人は仲が良くないのですが、終わりの時代に、主によって救われたイスラエルのもとにアラブ人たちも呼ばれ救いに与る、すなわち、主の栄光が彼らにももたらされるのではないでしょうか。

 

●21節.彼がパランの荒れ野に住んでいたとき、母は彼のために妻をエジプトの国から迎えた。

 

「パランの荒れ野」は、イスラエルの南部ネゲブとシナイ半島の間にある荒野、砂漠です。
わざわざエジプトから妻を迎えたというのは、ハガルがエジプト出身だったということでしょうか。
ハガルとエジプトには、何か関係があるように思うのですが。

 

イシュマエルは「妻をエジプトの国から迎えた。」とありますから、セム系のイシュマエルに、ハム系のエジプト人を妻に迎えたのです。

 

なお、セム系とハム系の違いは、両者の言語形態が異なっていることから来ていて、セム族とは、セム系言語を話す集団で、ハム族はハム系言語を話す集団ですが、現実には、ハム語は、既に消滅して存在していないそうです。

 

ですから、ここに出てくるエジプト人は、古代エジプト人で現在のエジプト人(ハム語系でもない)と違うそうです。
古代エジプト文明を築いた人々の言語と北アフリカの言語をハム語族と言ったのですが、現在は使われていないそうです。

 

 

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