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2024年1月10日 (水)

アビメレクとの契約(創世記21章)

聖書の箇所は、21章22節から34節です。
●22節.そのころ、アビメレクとその軍隊の長ピコルはアブラハムに言った。
「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。

 

22節から34節は、「ベエル・シェバ」という地名がつけられた背景となった出来事が記されています。その地名は、今も伝承と共に残っています。

 

「ダンからベエル・シェバまで」という表現がありますが、「ダン」も「ベエル・シェバ」もいずれも地名で、このフレーズで「北から南までの全域」を意味するそうです。

 

 

 

●23節.どうか、今ここでわたしとわたしの子、わたしの孫を欺かないと、神にかけて誓って(シャバ)ください。わたしがあなたに友好的な態度をとってきたように、あなたも、寄留しているこの国とわたしに友好的な態度をとってください。」
●24節.アブラハムは答えた。「よろしい、誓いましょう。」

 

「アビメレク」というのは名前ではなく王の呼び名の一つで、ここはゲダルの王です。
「ピコル」も名前ではなく、地中海沿岸地域に住むペリシテ人を指します。

 

「アビメレク」(ゲダル地方のペリシテ人の王)も「ピコル」(軍隊の長)も異邦人ですが、22節では、彼らはアブラハムに「神は、あなたが何をなさっても、あなたと共におられます。」と、アブラハムの神を認めある意味あがめています。

 

それで、彼らはアブラハムと「わたしの孫を欺かない」と双方が「友好的な態度」をとる平和条約を結ぶ必要性を知りました。

 

異邦人である二人の言葉「あなたと共におられます。」は、21章のベエル・シェバに伝わっていた伝承の一つと思われます。
24節でアブラハムは快く誓いします。

 

「アビメレク」は、ゲダル地方のペリシテ人の王ですから、イスラエル民族とペリシテ人との平和条約になります。
両民族はどちらもパレスティナの先住民カナンを侵略して住みだした民族です。

 

●25節.アブラハムはアビメレクの部下たちが井戸を奪ったことについて、アビメレクを責めた。

 

「井戸を奪った」は、 アビメレクの部下たちがアブラハムから奪った水の源である井戸のことだと思いますが、アブラハムはそのことを(その出来事は、おそらく平和条約締結前のことでしょう)責めます。

 

乾燥地帯ですから、水に関する争いごとは絶えなかったことでしょう。

 

●26節.アビメレクは言った。
「そんなことをした者がいたとは知りませんでした。あなたも告げなかったし、わたしも今日まで聞いていなかったのです。」

 

アビメレクは、部下たちの25節の水を奪った出来事を知らなかったと弁明します。

 

●27節.アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り、二人は契約を結んだ。
●28節.アブラハムは更に、羊の群れの中から七匹(シェバ)の雌の小羊を別にしたので、
●29節.アビメレクがアブラハムに尋ねた。
「この七匹の雌の小羊を別にしたのは、何のためですか。」
●30節.アブラハムは答えた。
「わたしの手からこの七匹の雌の小羊を受け取って、わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」

 

「アブラハムは、羊と牛の群れを連れて来て、アビメレクに贈り」平和条約を締結するのですが、その羊の群れの中から「七匹(シェバ)の雌の小羊を別に」します。

 

アビメレクがアブラハムにその理由を尋ねますと、アブラハムは、「わたしがこの井戸(ベエル)を掘ったことの証拠としてください。」と答えます。

 

平和条約のほかにアブラハムはさらに七頭の羊を用意したのは、ここは確かにアブラハムの井戸であることを示す証拠だということです。
「ベエル」は、井戸という意味で、「七」という数字はヘブル語で「シェバ」と言うそうです。

 

それで、「ベエル・シェバ」は七の井戸あるいは誓いの井戸と、どちらの意味をも含む言葉であるということです。
ベエル・シェバは「誓いの井戸」という意味です。

 

●31節.それで、この場所をベエル・シェバと呼ぶようになった。二人がそこで誓いを交わしたからである。

 

それゆえ、この土地はベエル・シェバと呼ばれるようになったということでしょう。ベエル・シェバの伝承の一つですね。
ベエル・シェバは、今でもイスラエルの中で大きな都市の一つになっているそうです。
遺跡があり、その遺跡の入口には井戸も残っているそうです。

 

●32節.二人はベエル・シェバで契約を結び、アビメレクと、その軍隊の長ピコルはペリシテの国に帰って行った。

 

アブラハムとアビメレクは、こうして、ベエル・シェバで契約を結びました。
つまり、この平和条約やら「七頭の子羊」やらで、ベエル・シェバの名前の由来を説明していることになります。

 

●33節。アブラハムは、ベエル・シェバに一本のぎょりゅうの木を植え、永遠の神、主の御名を呼んだ。

 

「一本の柳」をヘブル語で「エシェル」というそうです。
新改訳は「柳」と訳していますが、口語訳・新共同訳は「ぎょりゅうの木」と訳しています。

 

「永遠の神」というのは、神はとこしえに存在されるというのはそうですが、それだけではなく、神は約束はとこしえまでも覚えておられ、とこしえまでも守るという意味を含んでいるのでしょう。

 

神の約束は永久に不変である。アブラハムは、イサクを通して子孫が天の星の数のように増え広がるということを、永遠の神にあって信じていたのです。

 

●34節.アブラハムは、長い間、ペリシテの国に寄留した。

 

アブラハムはベエル・シェバにタマリスク(ぎょりゅうの木の英語名)を植え、そこで「永遠の神ヤハウェの名を呼んだ。」、すなわち、聖所を築いたということでしょう。

 

なお、ぎょりゅうの木は中国原産で観賞用に栽培されるそうです。
この物語も、シケム、ベテル、ヘブロンにまつわる物語と同様に、聖所の起源説話であったのでしょう。

 

「木」は対立のない状態、平和な状態を象徴し、いつまでも、ここが平和な状態でありますようにと、永遠の神の名で祈りました。

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