諸国民の裁き（ヨエル書を読む）（4章）

聖書箇所は、４章１節から１５節です。
主がエルサレムに戻ってこられた後に行なわれるのは、イスラエルの周辺諸国への裁きです。

●１節．見よ、ユダとエルサレムの繁栄を回復するその日、その時。
●２節．わたしは諸国の民を皆集め／ヨシャファト（主の裁き）の谷に連れて行き／そこで、わたしは彼らを裁く。わたしの民、わたしの所有であるイスラエルを／彼らは諸国の民の中に散らし／わたしの土地を自分たちの間に分配したからだ。
●３節．彼らはわたしの民の運命をくじで定め／遊女を買うために少年を売り渡し／酒を買うために少女を売った。
●４節．ティルスとシドンよ、ペリシテの全土よ／お前たちはわたしにとって何であろうか／わたしに復讐しようというのか。もし、お前たちがわたしに復讐するなら／わたしは直ちにお前たちの頭上に復讐を返す。

４章は前３章における「主の日」の出来事と同時に起こるエルサレムを中心とした終末的状況を提示しています。
前３章からの続きで、２節では、「わたしは諸国の民を皆集め」としていますから、この諸国の民は、イスラエルに対して大きな罪を犯したイスラエルの周辺国家であるティルスやシドン（今のレバノン）、ペリシテ（今のガザ地区）、エジプト、エドムといった国々で、その諸国の民を集め、イスラエル人とその地に行ったことに対して、裁きが行われるのです。

●５節．お前たちは、わたしの銀と金を奪い／貴重な宝をお前たちの神殿に運び去った。
●６節．ユダとエルサレムの人々をギリシア人に売り／自分の国から遠く引き離した。
●７節．見よ、お前たちが彼らを売ったその所から／わたしは彼らを呼び戻し／お前たちの頭上に復讐を返す。
●８節．わたしは、お前たちの息子、娘を／ユダの人々の手に渡す。ユダの人々は、彼らを遠くシェバ人に売ると／主が語られた。

なお、神の裁きを受けるのは、ティルスやシドン（今のレバノン）、ペリシテ（今のガザ地区）、エジプト、エドムですが、現在、どの地域からも、イスラエルは自分たちの軍を撤退させ、ガザ地区からは入植者たちも引かせています。

そしてそのどちらの地域にも、イスラエル全滅をもくろむイスラム過激派が入り込んでいます。
すなわち、レバノンにはシーア派過激派のヒズボラが、ガザ地区にはスンニ派過激派のハマスです。

●９節．諸国の民にこう呼ばわり、戦いを布告せよ。勇士を奮い立たせ／兵士をことごとく集めて上らせよ。
●１０節．お前たちの鋤を剣に、鎌を槍に打ち直せ。弱い者も、わたしは勇士だと言え。
●１１節．諸国の民は皆、周囲から集まり／急いで来るがよい。――主よ、あなたの勇士を遣わしてください。
●１２節．諸国の民が奮い立ち／ヨシャファトの谷に上って来ると／わたしはそこに座を設け／周囲のすべての民を裁く。

神が、ヨシャファトの谷にイスラエルに対して大きな罪を犯したイスラエルの周辺国家を集めてと言うのは、神がご自分の主権で、ご自分に反抗する諸国の軍隊にエルサレムに集まって来いと挑戦しておられるところです。

集められた民は、イスラエルの罪を犯した人々ですから、この時のイスラエルはすでに救われていますので、キリストの民になるので反キリストだと思います。
まさにハルマゲドンの戦いです。

●１３節．鎌を入れよ、刈り入れの時は熟した。来て踏みつぶせ／酒ぶねは満ち、搾り場は溢れている。彼らの悪は大きい。
●１４節．裁きの谷には、おびただしい群衆がいる。主の日が裁きの谷に近づく。
●１５節．太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。

集められた軍隊が、神によって滅ぼされるのは、ヨハネの黙示録１４章１８節から２０節に該当すると思います。
なぜならば、その箇所の神の命により「天使は，地に鍬を投げ入れて地上のぶどうを取り入れ、これを神の怒りの大きな搾り桶（酒ぶね）に投げ入れた。」とあるからです。

ここまでをまとめると、先の３章において神からの霊を受けたすべての人に対して主の日の到来が宣言され、それを受けて、各地に散らされたイスラエルの民（異邦人を含む）がエルサレムに集められます。

このエルサレムには「逃れ場」があり、そこに神の声に聞き従うイスラエルの民が集められます。（１６節）
そして、エルサレム周辺に広がる「ヨシャファトの谷」には、イスラエルに対して罪を犯したティルスをはじめとした人々が神の裁きを受けるために集められるのです。

こうして、裁きの座が整いイスラエルの周辺国の人々に対する徹底的な裁きが執行され、そして、全地は闇に包まれるのです。（１５節）