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2021年10月30日 (土)

父の諭し㈨(7章)

聖書の箇所は、7章1節から27節です。
1章から9章はソロモンが息子に語りかける形で箴言が述べられていますが、6章では、人妻と通じたら夫の怒りを買い大変なことになることを読みました。

 

7章は、若い男がどのように女の餌食になるのか、その様子を克明に描いています。
以下のように三つの部分からなっています。

 

(1) 1〜5節 「わが子」に対する父の諭し
(2) 6〜23節 格子窓から見た風景
(3) 24〜27節「子どもら」に対する父の諭し

 

●1節.わが子よ、わたしの言うことを守り/戒めを心に納めよ。

 

「わたしの言うこと」は、父の言うことですから神の言葉で、それを「心に納めよ」(蓄えよ)です。
御言葉を心に蓄えれば神に罪を犯すことはありません(11節)。

 

●2節.戒めを守って、命を得よ。わたしの教えを瞳のように守れ。
新改訳は、「私の命令を守って、生きよ。私のおしえを、あなたのひとみのように守れ。」です。

 

「瞳」を最も大事なものに喩えて、その最も大事なものとして「わたしの教え」守りなさいと言うことでしょう。
日本には「目の中に入れても痛くない」という慣用句がありますが、それは自分の子どもや孫がとても愛らしくてかわいくてたまらない思いを表しています。
そのように、「ひとみ(瞳)」はとても大切なものを表わすたとえでしょう。

 

 

 

●3節.それをあなたの指に結び、心の中の板に書き記せ。

 

「指に結」べは、自分がいつも、何か作業をしているときにすぐに目に入ります。
結ぶのは「わたしの教え」を結ぶのですが、それは、教えをいつも目に留まるようにしておくだけでなく、「心の中の板」にも書き記せと命令します。
「書き記せ」と言うのは、神の言葉を心に留めよと言うことでしょう。

 

●4節.知恵に「あなたはわたしの姉妹」と言い/分別に「わたしの友」と呼びかけよ。

 

「知恵」を自分の姉妹と言いなさいですから、身近な女性のように見なしなさいと命じています。その理由は次にあります。
「分別」は、「わたしの友」ですから、いつも共に歩むものです。、

 

●5節.それはあなたをよその女から/滑らかに話す異邦の女から守ってくれる。
新改訳は、「それは、あなたを他人の妻から守り、ことばのなめらかな見知らぬ女から守るためだ。」です。

 

それは、は、知恵を指しますが、以下は、「知恵」を自分の姉妹と言いなさい」の理由になります。
4節の命令を自分の指に結びつけ、心の板に書き記し、そして自分の姉妹のように可愛がらなければ、「よその女」(他人の妻)、異邦の女(見知らぬ女)に容易に引きずられると言うことでしょう。

 

なお、「よその女」の原語は、「異国の女、他国の女、外国の女」と言うことです。
この表現で外国の神のことを意味していると考えられています。

 

●6節.わたしが家の窓から/格子を通して外を眺めていると
●7節.浅はかな者らが見えたが、中に一人/意志の弱そうな若者がいるのに気づいた。
新改訳は、「わきまえのない者たちを見ていると、若者のうちに、思慮に欠けたひとりの若い者のいるのを認めた。」です。

 

わたしですから、父が格子窓から見たものは、浅はかで、意志の弱そうな若者(女の誘惑に負けてつき従う「思慮に欠けたひとりの若い者」)の姿でした。

 

「意志の弱そうな」は、新改訳では、「思慮に欠けた」と訳されていますが、原文では「心の乏しい」となっているそうです。

 

●8節.通りを過ぎ、女の家の角に来ると/そちらに向かって歩いて行った。

 

コヘレトは、「思慮に欠けたひとりの若い者」に注目していますが、彼がどのように思慮に欠けているかは、 「女の家の角に来ると/そちらに向かって歩いて行った。」とあります。

 

もしかしたら何かの用事でこの通りを歩いていたかもしれませんが、自分が情欲に引き込まれる意志の弱さを持っていることを知っていながら、その通りに近づいているかもしれません。いや、その辺りは、赤線地帯かもしれません。

 

あえてその誘惑になるような場所を通る必要はないと思うのですが、通らなければ、誘惑に遭うこともないのです。けれども、この若者には思慮がありませんでした。

 

●9節.日暮れ時の薄闇の中を、夜半の闇に向かって。
新改訳は、「それは、たそがれの、日の沈むころ、夜がふける、暗やみのころだった。」です。

 

最悪の時間帯です。
日の沈むころは仕事も一段落して、ほっと一息つくような時です。この時、わたしたちは気が緩みます。
そして暗やみは、人の目を隠し、わたしたちを悪いことへ誘惑します。

 

●10節.見よ、女が彼を迎える。遊女になりきった、本心を見せない女。
新改訳は、「すると、遊女の装いをした心にたくらみのある女が彼を迎えた。」です。

 

「心にたくらみのある女」の特徴は、神出鬼没で、本心を見せないで、「遊女の装いをした心」をもって、うまく人を誘惑する女が、臆面もなく、意志の弱い若者に近づき、たくみにくどいて誘惑します。

 

●11節.騒々しく、わがままで/自分の家に足の落ち着くことがない。
新改訳は、「この女は騒がしくて、御しにくく、その足は自分の家にとどまらず、」です。
●12節.街に出たり、広場に行ったり/あちこちの角で待ち構えている。
新改訳は、「あるときは通りに、あるときは市場にあり、あるいは、あちこちの町かどに立って待ち伏せる。」です。

 

「心にたくらみのある女」は、騒がしくて、わがままで、あちこちの街角で、意志の弱い男を誘惑するために待ち伏せします。

 

●13節.彼女は若者をつかまえると接吻し/厚かましくも、こう言った。
●14節.「和解の献げ物をする義務があったのですが/今日は満願の供え物も済ませました
新改訳は、「和解のいけにえをささげて、きょう、私の誓願を果たしました。」です。

 

「和解のいけにえ」は、牛や羊などのすべての体を祭壇で燃やすのではなく、一部を主にささげ、残りを自分が食べることによって、神との交わりをしていることを意味します。
つまり女は、自分の家には肉にあり、食事もできますよ、と言って誘っているのです。

 

●15節.それで、お迎えに出たのです。あなたのお顔を捜し求めて、やっと会えました。
新改訳は、「それで私はあなたに会いに出て来たのです。あなたを捜して、やっとあなたを見つけました。」です。

 

「あなた」を三回もつかっています。親しみを込めて誘惑しているのです。

 

●16節.寝床には敷物を敷きました/エジプトの色糸で織った布を。
新改訳は、「私は長いすに敷き物を敷き、あや織りのエジプトの亜麻布を敷き、」です。
●17節.床にはミルラの香りをまきました/アロエやシナモンも。
新改訳は、「没薬、アロエ、肉桂で、私の床をにおわせました。」です。

 

「あなた」を繰り返し、心理的にも誘い、今度は視覚や嗅覚にも訴えています。

 

●18節.さあ、愛し合って楽しみ/朝まで愛を交わして満ち足りましょう。
新改訳は「さあ、私たちは朝になるまで、愛に酔いつぶれ、愛撫し合って楽しみましょう。」です。
●19節.夫は家にいないのです、遠くへ旅立ちました。
●20節.手に銀貨の袋を持って行きましたから/満月になるまでは帰らないでしょう。」

 

この女は、人妻なのですね。人妻であれば、一番気になるのは夫ですが、その夫は「遠くへ旅立ち」ましたので、心配しなくて良い、と言っています。

 

●21節.彼女に説き伏せられ、滑らかな唇に惑わされて
新改訳は、「女はくどき続けて彼を惑わし、へつらいのくちびるで彼をいざなう。」です。
●22節.たちまち、彼は女に従った。まるで、屠り場に行く雄牛だ。足に輪をつけられ、無知な者への教訓となって。
新改訳は、「彼はほふり場に引かれる牛のように、愚か者を懲らしめるための足かせのように、ただちに女につき従い、」です。
●23節.やがて、矢が肝臓を貫くであろう。彼は罠にかかる鳥よりもたやすく/自分の欲望の罠にかかったことを知らない。
新改訳は「ついには、矢が肝を射通し、鳥がわなに飛び込むように、自分のいのちがかかっているのを知らない。」です。

 

若者は性的な誘惑に弱いので、「直ちに女に従います」。それにしても「屠り場に行く雄牛」は、すごい喩です。
牛は自分が殺される直前まで、殺されることに気づかないようですが、若者は、同じように、自分が殺されることに最後の最後まで気が付かないと言うことでしょうか。

 

新改訳には、「自分のいのちがかかっているのを知らない」とあります。

 

●24節.それゆえ、子らよ、わたしに聞き従い/わたしの口の言葉に耳を傾けよ。
●25節.あなたの心を彼女への道に通わすな。彼女の道に迷い込むな。
新改訳は「あなたの心は、彼女の道に迷い込んではならない。その通り道に迷ってはならない。」です。

 

「あなたの心は、彼女の道に迷い込んではならない。」とコヘレトは、若者に訴えます。

 

●26節.彼女は数多くの男を傷つけ倒し/殺された男の数はおびただしい。

 

彼女が誘惑した若者で、「殺された男の数はおびただしい」と言っています。
自分は大丈夫だと自負しているような者たちも、数多く女の手に陥りました。

 

●27節.彼女の家は陰府への道、死の部屋へ下る。

 

彼女の誘惑の行き先は、「陰府への道、死の部屋」です。
誘惑する女も「悪い」が、誘惑される若者は父の言うことに耳を傾けなかった。その結果がこれです。

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