前置き(箴言を読む)
箴言を辞書で引くと、戒めの言葉。教訓の意味をもつ短い言葉。格言。「箴言集」と解説がありました。
箴言は旧約聖書の中の知恵文学の一書で、道徳上の格言や実践的教訓を主な内容とし、英知による格言・金言・勧告が集められたものです。
内容は教訓の集合で、様々な徳や不徳とその結果、及び日常における知恵や忠告等です。
箴言のテーマは「知恵」と言えます。
知恵は、天と地の創造以前からあったものであり、いわば、天と地はこの「知恵」によって創造されたと言えます。
それは神に従うことによって得られるものです。
箴言は、その知恵を擬人化して書いています。
知恵とは、神に従て歩むことによって神の言葉を知ること、人間がこの世で賢く生きていくために必要な生活技術や生活能力で、実生活で人間は困難に直面すると、その課題を巧みに解決、処理し、時と場合に応じて適切に行動する能力と言えるでしょう。
それらの知恵によって具体的に対処することができた人物を賢者と呼んでいたのでしょう。
知恵とか賢さは、有能さを示すだけでなく、職業上の技能の熟練とも関係しているので、先立つ人々の経験を伝え聞き、実際に自らそれを確認し、修正し、修練を重ねることによって「わたし」は賢くなると言えます。
つまり、知識が増すことになるのでしょう。
箴言に集められた知恵の言葉は、文学的に洗練されており、一定の教養を持つ社会層から生み出されたものでしょう。
箴言は、宮廷を中心に生み出されたのでしょう。
当時、イスラエルでは、王国成立によって、エルサレムに一定の教養層が生まれ、その子弟のための学校が設けられたと推定されています。
学校には、教師も教材も必要で、その教材に、文学的に洗練された格言風の詞が用いられたのではないでしょうか。
なお、箴言の目的をまとめてみると、下記の通りになると思います。
①「知恵と訓戒を学ぶため」
②「悟りのことば、箴言、比喩、なぞを理解するため」(よく注意し、よく考え、よく調べて、よく悟る)
③「正義と公義と公正と、思慮ある訓戒を体得するため」
④「分別と知識と思慮を与えるため」
箴言の著者は、ダビデの子ソロモン(1の2)、マサの人ヤケの子アグル(30の1)、マサの王レムエル(31の1)です。
宛先は、「我が子よ」「私の子よ」「師から弟子に向けた言葉」です。
執筆年代は、ソロモンの時代(紀元前900年ころ)とヒゼキアの時代(紀元前700年ころ、編集)です。
ダビデが、主を思い慕う礼拝者とすれば、ソロモンは主の助けを仰ぐ知恵者と呼ばれています。
ソロモンの知恵は、「非常に豊かな知恵と洞察力と海辺の砂浜のような広い心」のようであったと列王記上5章9節に書いてあります。
そして、「彼の語った格言(箴言)は三千、歌は一千五首に達した」。(列王記上5章12節)とあります。これから読む箴言も、三千の格言の中の一つでしょう。
ソロモンの時代のイスラエルは、平和と繁栄の時代でした。
ソロモンの豊かな人生は、神によって支えてられたもので、その知恵は、日常の具体的な場面においての知恵も、神から与えられえたものでした。
箴言は、律法の実戦であり日常生活の指針となりますが、死後の世界に関する教えは皆無です。
と言うことで、今日においても大変参考になるものと思います。
箴言は、七つの区分に分けられます。
①前書き・・1章から9章
②ソロモンの箴言①・・10章から24章
③知者の言葉・・22章17節から24章34節
④ヒゼキアの家来が編集したソロモンの言葉②・・25章から29章
⑤アグルの言葉・・30章
⑥レムエルの言葉・・31章1節から9節
⑦有能な妻・・31章10節から31節
最後に、箴言は必要な箇所には新改訳を併記しました。その方がわかりやすいと思います。
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