勧めの言葉(4章)
聖書の箇所は、コロサイの信徒への手紙4章2節から4章6節です。
●2節.目を覚まして感謝を込め、ひたすら祈りなさい。
著者は、この手紙の結びの勧告として、「ひたすら祈りなさい。」とし、そして感謝をこめた祈りの中で目覚めているように勧告します。
この「目を覚まして」は、キリストの再臨が近いから目覚めているようにということもあるでしょうが、世の思いに埋没しないように、ひたすら目を覚まして祈りなさいと言うことでしょう。
ひたすら祈りなさいと著者は言っていますが、それでは、神のご計画とわたしたちの祈りとはどのような関係にあるのでしょうか。
神は被造物であるわたしたちを、ご計画を持って創造されました。
神はその計画を実行されようとするときに、まず、わたしたちにご自分の願いを示されます。
そして、その願いをもって、わたしたちは祈ります。
すると、神は、わたしたちを通してご自分のご計画を実行されます。
このようにして、神ご自身の願いがわたしたちの願いとなり、わたしたちの祈りを通して、神がご自分の願っていることを実行されるということでしょうか。
わたしたちは御心に沿った願いを神にひたすら祈ることによって、自然と神が願っておられるように変えられるのでしょう。
このような事態が成就するためには、わたしたちと神が祈りによって常に結ばれている必要があると思うのです。
●3節.同時にわたしたちのためにも祈ってください。神が御言葉のために門を開いてくださり、わたしたちがキリストの秘められた計画を語ることができるように。このために、わたしは牢につながれています。
そして、著者は「わたしたちのためにも祈ってください」と言っています。
著者は、パウロ亡き後の宣教活動を担う一員ですから、神の言葉を告知する者として、その祈りは、「キリストの秘められた計画を語ることができるように」という祈りになるのでしょう。
著者は福音の目標を「神の秘められた計画であるキリストを悟る」(2章2節)ことであり、そのキリストを悟るのは、「知恵と知識の宝はすべて、キリストの内に隠れて」(2章3節)いるからです。
「キリストの福音」を語ることは、「キリストの奥義(キリストという神の奥義、)」、すなわち、秘められた計画を伝えることです。
キリストの奥義とは、「その計画とは、あなたがたの内におられるキリスト、栄光の希望です。」と1章27節にあります。
●4節.わたしがしかるべく語って、この計画を明らかにできるように祈ってください。
著者が「わたしたち」(3節)でなく、「わたしが・・できるように祈ってください。」とコロサイの人に願っているのは、著者はパウロ亡き後の宣教活動を担う一員として3節で「わたしたち」と言いましたが、ここでは獄中のパウロに啓示されたパウロだけが語ることができる奥義を「わたしが」語ることができるようにということでしょう。
パウロだけが語ることができる奥義とは何かですが、それはキリストが神の栄光の完全な現われであること。
御子はすべて造られた者の先におられる方であり、御子によって御子のために万物が造られたこと。
万物は、キリストによって神と和解させられ、キリストのうちに、すべての知恵と知識の宝が隠されていること。
キリストはすべての支配と権威のかしらで、このキリストが、わたしたちのうちに生きておられることの四点でしょう。
彼はこの四点を告知したのだと思います。
●5節.時をよく用い、外部の人に対して賢くふるまいなさい。
ここの「外部の人」とは、集会の外の人たち、未信者の人たちのことでしょう。
「時をよく用い、・・賢くふるまいなさい。」ですから、適切な時に、適切な言葉をもって、伝道しなさい、証しをしなさい、ということでしょう。
聞く耳のない時に何を言っても人は受け入れません。何事にも時があるのです。
まとめると、奥義を伝えられた「あなたたち」も、時をフルに用いて、外の人たちに「賢く」(相手や状況を賢明に判断して)その奥義を伝える努力をするように求めているのでしょう。
●6節.いつも、塩で味付けされた快い言葉で語りなさい。そうすれば、一人一人にどう答えるべきかが分かるでしょう。
その奥義を伝える言葉は、「いつも、塩で味付けされた快い言葉」を使って語りなさいと言っています。
誰にも理解できない難しい言葉を使うとか、粗野で無味乾燥な言葉を使うのは、キリストの奥義を語るのにふさわしくないのです。
「塩で味付けされた快い言葉」というのは、聞く人一人一人の状況に応じた(相手が受け入れやすい心情にある時)言葉、すなわち、人情に訴える面もあって良いのではないでしょうか。その言葉は、神の恵みの中にいて初めて語ることができる言葉でしょう。
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