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2019年1月31日 (木)

暴風に襲われる

聖書の箇所は、使徒言行録27章13節から38節です。

●13節.ときに、南風が静かに吹いて来たので、人々は望みどおりに事が運ぶと考えて錨を上げ、クレタ島の岸に沿って進んだ。

パウロの「航海はもう危険」(10節)という忠告にもかかわらず百人隊長はフェニクス港に向けて船を出します。
穏やかな南風は、ほんの一時に過ぎませんでした。

やがて、この出航が大惨事につながります。

●14節.しかし、間もなく「エウラキロン」と呼ばれる暴風が、島の方から吹き降ろして来た。

島の方から(北東から)「エウラキロン」と呼ばれる暴風が吹き下ろしてきました。この風は北極地方からの風で、向かい風になるそうです。

●15節.船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができなかったので、わたしたちは流されるにまかせた。

船は向かい風に逆らって前に進もうとしていましたが、もう、それもできなくなったので、「流されるに」まかせることにしました。

●16節.やがて、カウダという小島の陰に来たので、やっとのことで小舟をしっかりと引き寄せることができた。

●17節.小舟を船に引き上げてから、船体には綱を巻きつけ、シルティスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて海錨を降ろし、流されるにまかせた。

「小舟を船に引き上げて」というのは、この船は大きな船でしたから、岸までたどりつくための小舟が船体の側面に付いていたのですが、この暴風の中、壊れてしまう恐れがあるので、船に引き上げましたということでしょう。

さらに、船体がこわれないように、「船体には綱を巻きつけ、」ました。

●18節.しかし、ひどい暴風に悩まされたので、翌日には人々は積み荷を海に捨て始め、

●19節.三日目には自分たちの手で船具を投げ捨ててしまった。

翌日には人々は、船具や積荷を海に捨て始めました。

パウロが言った通り(10節)、船体や積荷に、大きな損失がもたらされます。

●20節.幾日もの間、太陽も星も見えず、暴風が激しく吹きすさぶので、ついに助かる望みは全く消えうせようとしていた。

パウロの言ったとおり、今度は彼らの生命がおびやかされています(10節)。「助かる望みは全く消えうせようとしていた。」とあります。

船長は、船を流されるままにして、船体が壊れないように綱を巻き、積荷を捨て、とにかく船が沈まないように手を打ちました。

もう、打つ手がなくなったのっですがまだ暴風は止みません。

人間の努力は尽き果てて、絶望的になったとき、パウロが話し始めます。

●21節.人々は長い間、食事をとっていなかった。そのとき、パウロは彼らの中に立って言った。「皆さん、わたしの言ったとおりに、クレタ島から船出していなければ、こんな危険や損失を避けられたにちがいありません。

●22節.しかし今、あなたがたに勧めます。元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はないのです。

パウロはなんと「元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はない」(22節)と断言します。

このようにパウロが断言するのは、おそらく、神からの啓示があったのでしょう。

そうでないと素人のパウロがこのように断言などできるわけがありません。

それは次節を読めばわかります。

●23節.わたしが仕え、礼拝している神からの天使が昨夜わたしのそばに立って、

●24節.こう言われました。『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。神は、一緒に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ。』

神はこうしてパウロによってご自分を証する機会を用意されたということでしょう。

『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。神は、一緒に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ。』というのは、神はパウロにローマ皇帝の前に出頭して証することを予告されていましたが、ご自分の栄光を表すために、パウロが乗っているこの船を暴風から救い出し、その中にいる人々もみな救い出す、とパウロに語られたということでしょう。

●25節.ですから、皆さん、元気を出しなさい。わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります。

「わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります。」とパウロは言います。

●26節.わたしたちは、必ずどこかの島に打ち上げられるはずです。」

●27節.十四日目の夜になったとき、わたしたちはアドリア海を漂流していた。真夜中ごろ船員たちは、どこかの陸地に近づいているように感じた。

「どこかの島」の「どこかの」という語句は、「ある特定の島」という意味だそうです。

ある特定の島ですから、島であればどこでもよいわけではないのです。

神が決められた、ある「どこかの島」に導かれるのです。

「真夜中ごろ船員たちは、どこかの陸地に近づいているように感じた。」のです。状況には光がさしてきました。

●28節.そこで、水の深さを測ってみると、二十オルギィアあることが分かった。もう少し進んでまた測ってみると、十五オルギィアであった。

●29節.船が暗礁に乗り上げることを恐れて、船員たちは船尾から錨を四つ投げ込み、夜の明けるのを待ちわびた。

●30節.ところが、船員たちは船から逃げ出そうとし、船首から錨を降ろす振りをして小舟を海に降ろしたので、

●31節.パウロは百人隊長と兵士たちに、「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたは助からない」と言った。

●32節.そこで、兵士たちは綱を断ち切って、小舟を流れるにまかせた。

しかし、今度はまた別の問題が出てきました。

パウロと百人隊長と兵士たちを置いて「船員たちは船から逃げ出そうとし、」たのです。

助かる見込みが出てくれば、人間というものは我先に助かろうとするのです。

船員たちは、なんと、自分たちだけ助かろうと試みたのです。

パウロは百人隊長に「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたは助からない」といってその行動を止めようとします。

百人隊長は、もともとパウロに好意を持っていましたし、信頼もしていました。

それで、パウロの言葉を信じて直ぐに従います。

そこで、百人隊長は船員たちが逃げないように兵士たちに言って「綱を断ち切って、小舟を流れるにまかせ」ました。

こうして、船員が逃げるのを防ぐことができました。

●33節.夜が明けかけたころ、パウロは一同に食事をするように勧めた。「今日で十四日もの間、皆さんは不安のうちに全く何も食べずに、過ごしてきました。

●34節.だから、どうぞ何か食べてください。生き延びるために必要だからです。あなたがたの頭から髪の毛一本もなくなることはありません。」

小舟もなくなったので、泳ぐか、木などにつかまって岸辺まで行かなければならなくなりました。

そのためには、体力が必要です。

もう、14日も経っているのです。不安と恐れでろくに食事は取っていなかったでしょう。パウロは皆に食事を勧めます。

そして、パウロは、「あなたがたの頭から髪の毛一本もなくなることはありません。」(34節)と断言します。

●35節.こう言ってパウロは、一同の前でパンを取って神に感謝の祈りをささげてから、それを裂いて食べ始めた。

●36節.そこで、一同も元気づいて食事をした。

●37節.船にいたわたしたちは、全部で二百七十六人であった。

●38節.十分に食べてから、穀物を海に投げ捨てて船を軽くした。

完全にパウロが主導権を握っています。

パウロは、キリストの民でもない人たちの前で「一同の前でパンを取って神に感謝の祈りをささげてから、それを裂いて食べ始めた。」のです。

一同は、パウロが言っている神を信じるしか自分たちが救われる方法がないことを知ったのだと思います。


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