神の国が来る(2)(ルカ17章)
神の国が来る(2)です。
聖書箇所は、ルカの福音書17章28節から37節です。
観福音書の並行個所は、マタイの福音書24章23節から28節、37節から41節です。
●28節.ロトの時代にも同じようなことが起こった。人々は食べたり飲
んだり、買ったり売ったり、植えたり建てたりしていたが、
●29節.ロトがソドムから出て行ったその日に、火と硫黄が天から降ってきて、一人残らず滅ぼしてしまった。
「ロトの時代」(旧約聖書創世紀19章の「ソドムの滅亡」のこと)にも同じようなことが起こったことが続いて語られます。
イスラエルの人々にとって、この出来事は誰でもが知っている有名な出来事ですから、それを引用して、世の人々が迫っている危機を自覚せず、毎日を気楽に過ごしている姿をソドムの出来事を例に挙げて警告されます。
●30節.人の子が現れる日にも、同じことが起こる。
●31節.その日には、屋上にいる者は、家の中に家財道具があっても、それを取り出そうとして下に降りてはならない。同じように、畑にいる者も帰ってはならない。
ソドムの出来事は、イスラエルにとっては歴史上の出来事です。
そのことを語り、思い起こさせた上で、「人の子が現れる日にも、同じことが起こる」と警告がなされます。
「人の子」とはイエスのことですから、その様な出来事が起こるのは、「人の子が現れる日」(30節)と、はっきりとイエスはご自分の再臨を語っておられます。
そして、突然天から「火と硫黄が降ってきて」、「稲妻がひらめいて、大空の端から端へと輝くように、人の子もその日に現れる」のです(24節)。
このようにして、人の子が思いがけないときに突如現れて、世界を裁くことになると警告されます。
●32節.ロトの妻のことを思い出しなさい。
●33節.自分の命を生かそうと努める者は、それを失い、それを失う者は、かえって保つのである。
「ロトの妻のこと」は、旧約聖書創世紀19章のロトの妻の物語です。
内容は簡単に述べると下記の通りですが、滅び行くこの世界からすべてを捨てて逃れる時の緊急性を教える例として取り上げたのでしょう。
ソドムの町がその悪行のゆえに天からの硫黄の火で焼き滅ぼされた日、ロトは主の御使いに連れ出されて、「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない」と命じられます。
ところが一緒に逃げた「ロトの妻は後ろを振り向いたので、塩の柱になった」と語り伝えられています。
この後ろを振り返ったロトの妻のようにいざという時に地上のことに執着しょうとする者は、結局、この世界と共に滅んで命を失うことになるが、来たるべき「人の子」の日に備えて、この世のことに執着しないで、命を失うことも辞さない者は、かえってその地上の命を豊かに生き、最後には永遠の命に達すると、逆説を語ります。
●34節.言っておくが、その夜一つの寝室に二人の男が寝ていれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。
●35節.二人の女が一緒に臼をひいていれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。」
「稲妻がひらめいて、大空の端から端へと輝くように、人の子もその日に現れる」(24節)と、その日に地上に起こることを語ります。
34節と35節は同じことを言っているようですが、「連れて行かれる」は「人の子」のもとに集められることを意味し、「残される」は地上に残されて滅びに至るという意味でしょう。
「人の子」が現れる日には、そのような事態が起こるのですから、余り地上の生活に埋没しないで、「人の子」が現れる日に備えているようにと説いているのだと思います。
●36節.畑に二人の男がいれば、一人は連れて行かれ、他の一人は残される。†
さらにその日に地上に起こるべきことが語られます。
●37節.そこで弟子たちが、「主よ、それはどこで起こるのですか」と言った。イエスは言われた。「死体のある所には、はげ鷹も集まるものだ。」
あれあれ、弟子はそういうことがどこで起こるのかと、場所の質問をしています。まだ、イエスが言われていることが分かっていないのです。
「神の国は、見える形では来ない。『ここにある』『あそこにある』と言えるものでもない」と言っておられるのに、です。
強いて言えば、特定の場所ではなく全地球上で起こると思うのですが。
それでは、37節の「死体のある所には、はげ鷹も集まるものだ。」はどのように解釈すればよいのでしょうか。
正直よくわかりません。謎の言葉です。
調べてみると解釈も色々あるそうです。
それでも文脈から考えると、死体のある所にはげ鷹が集まるのは当然のことであるように、この世の不信仰というか、悪がはびこるところには悪が集まるのも当然である、ということでしょうか。
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