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2017年12月20日 (水)

汚れた霊が戻ってくる(マタイ12章)

今回はマタイの福音書第12章43~45節、ルカの福音書第11章24~26節を読みます。

マタイの福音書第12章

●43節.「汚れた霊は、人から出て行くと、砂漠をうろつき、休む場所を探すが、見つからない。

●44節.それで、『出て来たわが家に戻ろう』と言う。戻ってみると、空き家になっており、 掃除をして、整えられていた。

●45節.そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を一緒に連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の後の状態は前よりも悪くなる。この悪い時代の者たちもそのようになろう。」

この時代のユダヤ人社会では、悪霊祓いはよく行われていました。

医学は発達していなかったので、だいたい病気は悪霊の仕業だと考えられていたようです。

医学が発達した現在でも、悪霊の仕業としか思えない現象とか病があるのは事実かと思います。

聞いた話ですが、退院が近づいた患者が突然亡くなることがあるそうです。

突然なぜそのようなことになるのか医者もわからないと言っておられます。

病気を治すのは本人の回復する力、生命力だともいわれています。

医者はそれを助けるだけだということです。

当時は、祈祷(や呪文)による治癒も悪霊祓いの結果であると見られていたようです。そのさい、治癒されても一時的で、再び以前よりも悪い状態に陥るケースもしばしばあったようです。

そのようなケースは、追い出された悪霊が仲間の悪霊を引き連れて戻ってきたのだと説明されていました。

現在でも、癒しを売りものにしている新興宗教には、教祖の祈祷などで一時的に病が治ったように見えても、時間が経つと再びぶり返し前より症状が悪くなった、ということがあるのではないでしょうか。

マタイは最後に「この悪い時代の者たち」という言葉をおいていますが、この悪い時代の者というのは、福音書が書かれたマタイの時代、ユダヤ戦争終結後のユダヤ教会堂勢力のことだと思います。

ユダヤ教会堂勢力の中心、最高法院や会堂は、洗礼者ヨハネの迫っている審判の告知を聴いても悔い改めずそのヨハネをも殺してしまい、イエスの「神の支配」の告知をも受け入れずそのイエスを殺してしまい、家を空き家のままにしていたので、熱狂的な国粋主義者である熱心党(悪霊にとりつかれたのか)の勢い、というか狂気を止められずユダヤ戦争を引き起こし、ついにイスラエルはローマ軍により壊滅的打撃を受けたのです。

ユダヤ戦争敗北によってその狂気は取り除かれましたが、その後に成立したファリサイ派主導のヤムニヤ体制はさらに悪くなり、厳格な律法支配の体制の下にイエスの民を異端としてユダヤ人社会から追放しようとしました。

キリストの共同体にとってこの時代は以前よりも悪い時代でした。

また、キリスト教が真にユダヤ教から分離したのもこの時代だと言われています。

ルカの福音書第11章

●24節.「汚れた霊は、人から出て行くと、砂漠をうろつき、休む場所を探すが、見つからない。それで、『出て来たわが家に戻ろう』と言う。

●25節.そして、戻ってみると、家は掃除をして、整えられていた。

●26節.そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の後の状態は前よりも悪くなる。」

ルカの福音書が生まれたのは、紀元70年のユダヤ戦争後でイスラエルは敗戦の混乱の中にありましたが、調べてみると、ルカはパレスチナから遠く離れた地で著述していますので、マタイのようにユダヤ教団の歴史との関連を加える必要はなかったのではということです。

したがって、このイエスの言葉を純粋に霊の問題として取り上げています。

イエスによって悪霊を追い出してもらった者は、悪霊が逃げ去って空家となった潜在意識にしっかりと新しい主人であるイエスの御霊、聖霊を迎え、二度と空き家にしないように警告しています。

悪霊が去り、空家となった潜在意識を再び悪霊に支配されないためには、イエスの御霊、聖霊に内住してもらい潜在意識を支配してもらうしかないということになります。

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