鷲のような若さを新たに
詩篇103篇5節を読みます。
●5節.長らえる限り良いものに満ち足らせ/鷲のような若さを新たにしてくださる。
青年のときは未来を語り、夢を語り、己のあるべき人生を考え、その様になりたいと思います。
老人になったときの自分の姿など想像すらできません。
わたしたちは若い時は自分も年を取ることは、理屈ではわかっているのですが、身近な問題として実感できないのです。それも神様の計らいでしょう。
老人になると、そのような輝かしい未来は少しずつなくなっていきます。夢も消えて、過去を語るようになります。
誰もが高齢になっても若さを保ちたいと思います。出来るならば若返りたいと願います。
しかし、歳月は容赦なく全ての人から未来を奪い、すべての人をもはや過去しか持たない老人に変えてしまいます。
よく聞く話ですが、仕事を生き甲斐にしてきた人は、定年で職場を去ると、やるべきことを失い、何をよすがにして生きればよいのか迷ってしまうそうです。
人に命令されて生きてきた人間は、自分が自分に命令することには慣れていません。
わたしがいなければ、この仕事はわたしにしかできないと思っていても、現実には、その人が退職しても会社には何の影響も及ぼさない。
たとえ一時的に混乱があっても代わりがすぐに表れるものです。
容姿を頼りにしてきた女性は、60歳にでもなれば、隠しようのない容姿の衰えに気が付き、もはや容姿を頼りにできないことを悟ります。
歳とともに病気にかかることも多くなり、人の役に立つことよりも世話になることが多くなり、体の衰えと共に、確実に近づく死を知り、これからの人生に戸惑い、自分がしていることが、自分の存在が無意味に感じられるものです。同時に、人の憐れとはかなさを知るようになります。
このような人生の現実の中で、若さを保持し、毎日生きていることに生きがいを持てるようになるのでしょうか。
どうすれば老人が未来を、希望をもって生きることができるのでしょうか。
いくら健康に留意して、趣味やその他の生き甲斐を求めて努力しても、意味を見いだせないまま老化は遠慮会釈なく進行します。
そして、やがてその趣味とか健康をも奪っていく、最後には命をも奪っています。
人生がこの世だけならば、老人は何を希望に生きればよいのか。
ところがどっこい、「主に望みをおく人」には来世という未来はあると聖書は教えます。
その個所は、イザヤ書40章30節と31節です。
30節.若者も倦み、疲れ、勇士もつまずき倒れようが
31節.主に望みをおく人は新たな力を得/鷲のように翼を張って上る。走っても弱ることなく、歩いても疲れない。
老人も青年も壮年も人生に疲れ果て、途方に暮れることがあります。
老いはそれに追い打ちをかけます。この世だけを見ている限りそのことから逃れることはできません。
キリストの神は創造者です。わたしたちの未来を造られるのもその創造の神です。
その神を信じ、己の人生のすべてを委ねて生きると、地上の人生がどのような状態であろうと関係なく、いつも新しい力を与えられて、その人の魂を「鷲のような若さを新たにしてくださる。」のです。
なぜならば、キリスト者は未来を見えない来世に希望をおいているからです。
それは、青年であっても、壮年であっても、老年であっても変わりありません。
神をおのが未来として、希望としてこの世を生きているからと言えます。
キリストの福音を受け入れれば、もう、地上の現実がどのようであれ、落胆したり、絶望したりすることもないのです。
キリスト者は、神が創造者であるだけでなく、死人を復活させる神でもあることを知っています。
それは、その神が約2000年前にイエス・キリストを死人の中から復活させた神だからです。
そのことを信じる者は、神がイエス・キリストを復活させたように、わたしたちをも霊の体を持って復活させてくださることを信じているからです。
そのように信じていることの根拠は、2000年前に現実にあった、キリストの復活の出来事です。
キリスト者は、青年であっても、壮年であっても、老年であっても復活に希望をもってこの人生を歩むのです。だから、キリスト者はいつも未来に生きていると言えます。
たとえ、髪は白くなり、顔には皺が刻まれ、体力は衰えても、落胆しないのです。
「だから、わたしたちは落胆しません。たとえわたしたちの「外なる人」は衰えていくとしても、わたしたちの「内なる人」は日々新たにされていきます。」(コリントの信徒への手紙二 / 4章 16節]とある通りです。
この「内なる人」が、御霊によって新しい命を生きているわたしなのです。
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