良い方を選んだ
ルカの福音書10章41節から42節
●41節.主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。
●42節.しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」
わたしたちは毎日を生きていく上において、本当に様々な問題を抱えています。
たとえば、健康の問題、仕事の問題、子供の教育問題、夫婦間の問題、職場や地域の人間関係の問題、老後の問題、死の問題、また、自分に直接かかわりがなくても、毎日のように目の中に飛び込んでくる事故や殺人事件の問題、国際関係の問題、環境汚染の問題、原子力発電の事故や核軍備の問題、人権の問題、飢餓や戦争の問題などなど挙げればきりがありません。
どれ一つとしてゆるがせにすることはできない問題のように思えます。
さて、イエスがマルタに語られたこの言葉は、時代を超えて「多くのことに思い悩み、心を乱している」現代人に語りかけておられるのでしょう。
何を語っておられるかと言えば、人間が真実に生きるために必要なものは多くはないとイエスは言われているのだと思います。
その中のただ一つでよいから大切なことを追い求めるようにと呼びかけておられます。
それは一体何であろうか。それは、マルタに小言を言われても、イエスの足もとに座ってイエスの言葉に耳を傾けているマリヤの姿なのです。
イエスは、どのような人をも無条件で受け入れようとして呼びかけられる神の恵みの言葉を語られます。
しかもその言葉は力ある業(奇跡)に裏打ちされていますから、いや、神の思いがこもった言葉ですから権威をもって聞く人々に迫ります。
当時の人々の思いをはるかに超えるイエスの言葉を聞く人々は、驚嘆し歓喜して耳を傾けました。それほど人びとは救いを求めていたのでしょう。
その人たちは、律法を守りたくても守れない人々で、ユダヤ教という宗教社会から排斥されている、いわゆる罪人として差別され、疎外されている人々でした。
イエスはその人たちの中に救いを持ってこられたのです。
イエスは、神の言葉こそ人間が真実に生きるためには無くてならぬものと教えられます。
神の言葉の働きは、それを受け入れる者に聖霊を与え、聖霊は神と人間との交わりを回復し、人間を捕らえ、人間を造りかえます。そして、永遠の命を注がれます。
マリヤは、人生の諸問題の何を差し置いても、イエスの語られる神の言葉を聞くことを選びました。マリヤは良い方を選んだのです。今はその時なのです。
神の言葉を聞くことを差し置いて、まず人生の諸問題に対処することを選ぶか、人生の諸問題を差し置いて、まず神の言葉を聞くか、わたしたちはどちらを選ばなければならないのです。
ただし、どちらかを選んだとしても、選ばなかった方を捨てろとは言っておられません。
神の言葉を聞くことを選び今の人生を生きなさいと言われていると思うのです。
イエスは、神の言葉を聞いて、神の言葉がもたらすものによって人生の問題にいかに対処するかを問うよう求められたのだと思います。
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